家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

「別にいいや」

 施主施工をしているのは、平たく言えば節約の為。それだけでは施工品質を長期に維持する事は困難。まぁ、良し悪しとかのレベルではなくそういう事なのだ。チムニー施工はその凝縮。

 

 先に掲載したチムニー内部写真。そこに映る内壁はケイカル板。煙道火災に備えての不燃材。

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 だが、12㎜厚推奨の所、8㎜厚。その方が軽いわ安いわ。そもそも、お父さんの目が黒い内は煙道火災など起こさせない。薪作りに手間を掛けて煤等が付きにくい物に仕上げている。高額な国産高性能煙突を選択している。それでも煙道火災が起きるのなら、薪ストーブの運転法が悪いのか薪ストーブという代物自体が欠陥品だ。チムニー内部に人が入るわけでもなし、断熱材の役割も担っていないし。という事で「別にいいや」の8㎜厚。

 この意識は施工品質にも表れていて、ケイカル板の四方角に隙間が出来ている。ケイカル板は真っすぐ切ったつもりなので、例の適当施工の骨格に歪みがあるはず。隙間の部位に、通常なら板端部を受ける材を取り付けておくが、それも「別にいいや」で無し。直風が入るわけでも無いし。アルミテープでも貼っておくか、と思っていたが意識が低いのでそれも忘れる。気が付いたのが煙突設置後で面倒という事もあり「別にいいや」でそのまま貼らず。

 

 その骨格歪みの所為か、軟材が故に真っすぐ切りにくかった所為か、外壁下地材としての炭化コルクにも隙間がある。取付中に炭化コルクを落としてしまい、一部欠けた部位もある。だけども「別にいいや」でそのまま。

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 煙突設置の際には、先述したようにズレての設置。一部金物の取付位置が間違っていた。それに気付いても「別にいいや」でやり直さず。やり直すと、引き揚げた煙突管を降ろし直してあれやこれや、と手間を喰うから。薪ストーブやチムニートップ部材の設置に支障が無く許容範囲だと判断して続行。

 

 骨格の適当さ容認は、炭化コルクが軟材が故に取り付けられるから。その炭化コルクの隙間容認は、チムニー外壁仕上げは石灰モルタルに選定したから。板金のような硬材仕上げならこうはいかない。だが、二人は既に見ているだろうから一目瞭然だろうが、その石灰モルタルも適当さ爆発だ。

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 これに関しては、流石にもっと綺麗に塗ろうとは思っていた。今後の仕上げ左官工程の練習と位置付けていた為だ。しかしだ。思いの外の材不足でおじゃんにした。

 同材販売者の施工面積目安から単純算出した量は凡そ3.5kg。下地が凸凹した炭化コルクの為に気持ち加算しての4kg。さらに、黒パーフェクチンを凡そ400g投入。

 ちなみに、パーフェクチンを入れた理由。瓦屋根色との取り合いもあるが、外壁黒漆喰部の一部補修に備えての色実験。黒パーフェクチンにて黒漆喰を実現出来るのであれば、左官職は苦労しないと思う。ただ、石灰着色剤と謳っている同品に期待を込めて、どうせ普段は見えない場所だけに実験したかったのだ。

 

 いざ作業を始めると絶対的に量不足。探検さんが同じ業者から漆喰を購入されたそうだが、掲示目安量では不足する旨をおっしゃっていた。正にその通り。それもあっての気持ち加算だったが圧倒的に不足。急遽、再準備。石灰モルタルは、馴染ませる為に練った後に2日は置けと言う。で、作業中断。

 追加材は6kg。それにプラスの黒パーフェクチン。それでも不足。炭化コルク取付材としてのプラスチック丸板の跡がくっきり残る。と言うかそれ以前の仕上がりで、左官練習にも成らず。

 残同材は10kg。さすがにこれだけあると大丈夫そうだが、ここで止める。チムニーとしての用途はもう満たしているので材量が勿体ないし、どうせ見えないから「別にいいや」、と。この日はクリスマス。クリスマスに煙突工事。この日に終わりたい気分もあった。

 

 後日、石灰モルタル部に防水目的の為に亜麻仁油塗布。これは普通にある施工法のようで、本来は塗り材に直接混入させるようだ。混入させなかったのは、石灰モルタルの硬化や含水蒸発に時間を要する事になるのではないか、と推察したから。硬化の為の雨養生が困難だった事から、そういう状態を避けたかった為。その後にテレビアンテナを設置して、屋根上作業はようやく終了。

 

 さて、「別にいいや」施工をしていて思った事。

 世には「別にいいや」で仕事等をしている人間は腐るほどいるのは承知だろう。業種も様々、営業マンだろうが施工者だろうが医者だろうが役人だろうが教職だろうが。そういう人達は「別にいいや」で一体何を得ているのか。数分の時間や数万円の金銭を節約なり獲得をしても、後々に非効率な事態や多額の出費のリスクを抱え込んだりしないのか。その内容次第では他人様に迷惑や不利益を被らせるよな。

 いやいや、分かってるよ。他人に迷惑を掛けたり不快さを与えても平気な人間も腐る程いる事を。お父さんが言いたいのは非効率さでありリスクの事だ。5分ばかし手間を惜しんだが故にクレーム対応に5日を掛ける必要が起こるかもしれない。一万円の費用を惜しんだばかりに一千万円の損害賠償が来るかもしれない。そういう事が熟練に成れば成る程予見出来ると思うが、それでも目先の楽さ等に流れる人の気が知れない。と言うかアホさ加減に怒りさえ覚える。

 

 そう書きながらも、根気低迷中のお父さん自身も手間と材料を惜しんだ。だけども、薪ストーブは問題無く稼働するかと思われる。しかし、煙突掃除と屋根目視点検の為に毎年屋根に昇る度に、汚いチムニー外壁を見て後悔をする可能性を抱え込んだ。「別にいいや」の使い処の見極めもお父さんには難しそうだ。これが出来れば賢人なんだろうなぁ。