家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

ハンダを舐めたら火傷した

 さて、届いた「リン脱酸銅板0.4㎜」。略して「銅板」。開梱、まぁキレイ。10円玉にサンポールを付けたCMを思い出す、二人は知らんだろうが。

 これをチョキチョキしてカンコンカンコンしての部材作り。これで午前中一杯。時間を要し過ぎ。この時点で、予定の1人工で終わら無さそうな予感一杯。

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 午後からは、屋根上でチョキチョキしてカンコンカンコンしての取付加工作業。写真にある物は「面戸」。屋根に瓦と限らずに水下面へ取付ける、水に対して戸の役割をするような部材、と思ってもらったらよい。この面戸に限らず、銅板の固定は銅釘を使用。その後の施工中の写真は、屋内から見上げて撮った物しか無い。

 それぐらい焦り気味で施工をしていた。銅板が届くまでに準備施工を行っていた。銅板部材の納め方も相当時間を割いて検討していた。しかし、思った以上に難航。当日完成は断念。二日後の雨予報への不安が急上昇した時点でもう夜中。雨養生も断念。そしたら翌日にはもう雨が降りやがる。きぃぃぃぃ。

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 工期の見誤り要因は、瓦に対して部材を上手く納める事に難航した、だけではない。

 薪ストーブ施工予算は非常に辛くなっていた。積算時に費用の見立てがあまりに出来ず、と言って甘々にも出来ず。そんなわけでちょっと余裕を付けての予算としていた。しかし、炉台の敷瓦発注時点で予算超過。その上で高価な銅板発注。そこで、雨仕舞が可能と思われるお父さんにとってはギリギリの3枚とした。4枚ならもっと余裕がある事で、もう少し早期かつ美麗施工が出来たとは思う。

 

 辛い部材発注はもしかしたら難易度上げるか、と一応は思っていた。全く予想外だったのはハンダ作業。

 お父さん世代は、小学生時等に10円玉にサンポールだけでなくハンダを使った経験を持つ人は一定数おられるのではなかろうか。ハンダとは、主流種は鉛と錫が線状になっているもの。これを熱で溶かして金属同志を引っ付ける。電子基板とかで見るやつだな。

 使った直近はテーブルソーの丸鋸改造による配線でだが、その一つ前の直近だと中学生の時だ。これで合鍵を作った事があったり、身近な加工可能金属品だった。大人になってから、ある社屋の新築現場にて実験室の薬水槽の防水層として銅板敷設工程があり、その銅板を繋げるのに行われたハンダ作業が見た直近だ。ハンダに対してただただ広大な面積だったから大変な人力作業ながら、特殊な技術等を要するようには見えなかった。

 

 部材がギリギリ、かつ瓦という歪な形状に金属板を取り付ける。その為には銅板を複雑に加工。これが紙であっても一枚物では非切断にては出来ず。ましてや金属板。切ったり接いだりしてその箇所へのハンダは必須。

 最新施工法では違うかもしれないが、銅製樋の接ぎ部にはハンダだったようで、この家のそれにも使われている。しかし、樋と違ってこのチムニー雨仕舞でのハンダは、それがしくじっているとそのまま屋内雨漏りだ。

 

 でも所詮はハンダ、お父さんも知らない人間ではない。と思っていたが大間違い。事前の想いと全く違って、全く引っ付いてくれない。木工ボンド等の接着剤は論に値せず、引っ付かない度で言うと溶接よりも困難。これらを説明するとこれまた膨大文量なのでいつも通り省略。甘く見るなよ、とだけ書いておく。

 

 兎にも角にも、銅板が引っ付いても「イモハンダ」ばかりになる。イモハンダとは失敗ハンダの事だ。要因は熱不足と熱過剰とがあるそうで、お父さんは前者。それが分かってもなかなか打開が出来ない。ハンダは諦めてロウ付けを試みるがそれも不調。結果、銅板に乗せたハンダをバーナーであぶって定着させた。その結果、今度はきっと熱過剰。雨仕舞目的なのでもうこれで良しとした。と言うか、良しとするしか無い。失敗を繰り返し、ハンダやロウ付け材を買いに走ったり、ハンダ作業だけで1人工以上も費やしてしまった。コツが掴める前に施工終了。

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 イモハンダの問題は、屋根材面として強度の劣りだろうか。よって、煙突掃除時には板金部を踏まないようにして欲しい。もし踏んだりした際は、チムニー付近とその水下側天井の雨漏り監視が必要かもしれない。いや、踏まなくても頭の片隅には置いておくように。ちなみに現在の所は異常なしで雨仕舞成功、現在の所は。