家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

屋内に雨が降る

 家屋に明るさを取り入れる。これに一部の設計者の方々は日夜奮迅されている。土地は狭いわ、施工費は高いわの日本の新築家屋において、一つの解とされていそうなのが、中庭。そこに樹木を置くと、採光だけでなく緑も屋内に得られる算段との事。密集地の余裕が無い土地にてのそういう家屋の事例は、マスメディアによく取り扱われている感がある。

 

 それに触れる度に思い出すのは、世界的に有名な日本の建築家による住宅。

 研究者でもなく不勉強のお父さんのぼんやりな俄か知識だと、その建築家がまだ世界的とまでは行かなかった頃。既に国内では耳目を集め始めていたが、その多くの仕事は非住宅。その建築家に住宅設計を依頼する方もおられたが、自分の設計する家は住みにくいとして断っていたと。

 それでも構わないという施主の熱意にほだされて出来上がったのが、屋外がある家。細長い敷地に目一杯に建つその家は、勿論細長い。しかし、敷地手前と奥が別棟になっており、その間は外部。屋根は無し。雨天に家屋内を移動する際には、傘を差すか濡れるかを要す。しかし、それまでのウナギの寝床家と違い、奥に行くほど暗いとか密閉感とかは無い。

 この設計に関しては賛否両論。と言うかそれまでも建築家界からは異端と扱われていたっぽいだけに、非難轟々の方が多かったと聞いたような気がする。しかし、その家の外部箇所に屋内廊下を作ると先述のよくある中庭家屋になる。自然と暗くなってしまった古くからある日本の住宅事情を仮に伝統とするならば、それを打ち壊した事例ではないかと思う。伝統では間違いなく無いと考えるお父さんの場合、打ち壊したではなく暗さからの解放と見る。

 

 好意的な書き方だが、お父さん自体は屋内移動なのに一旦外部に出るのは好まない。門屋を仮住まいとしてから早二年ばかし。キッチンは母屋、トイレや風呂や洗面は母屋のさらに奥の別棟。寝床からトイレに行く時に季節を感じたり月の満ち欠けを愛で、なんてのは特に要らない。そういう事を感じても飽きた、と言うか面倒さが先に立つ。花鳥風月な人間でないのかもしれない。そうでなくとも、土や木や漆にて気候天候をこれ程意識する時間は過ごした事がなく、それに振り回される事に食傷気味。農業等にも向いていない人間かもしれない。

 

 そんなお父さんにやってきたのが、雨漏り。いや、屋内に雨降り。見慣れない、というか初めてで斬新な光景。さすがに件の有名な建築家でもこういう事はやらんだろうな。

 

 チムニー施工にての懸念の一つが雨天。屋根を開口するタイミングは週間天気予報と睨めっこ。一週間程雨が降らないと助かるが、予報は数日空けては雨が降ると言う。この時ばかりは予報が外れろと都合良く思うが、そんな虫の良い願望は通じない。では、雨養生をしっかりやれば良いのだが、その為にまた資材購入が必要になってくる。今あるものでする、それでも屋内が濡れても全てが工事中なので構わない、と無理矢理割り切った。

 

 案の定、雨に伴う風によりビニール養生は剥がされて、一階の炉台にまで水浸し。濡れた瓦屋根に立つ事は、屋根上でアイススケートするようなもの。ただただ二階内で水を留める事しか出来ない。

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 ヤル気が無いとかで手を抜く。それにより問題が発生。結果、また気が抜ける。雨とか気象庁とか何かの所為ではなく、大抵の問題は自分が原因。斬新でもなく平凡な事象。分かっちゃいるけど直らない。