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家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

墨汁から高層ビル、杉皮から邸宅

 前述したチムニー骨組みを設置する施工を開始。屋根に孔を開ける施工、とも言う。そういう当施工において、と言うか夏休みの宿題の貯金箱製作だろうが巨大タンカーの造船だろうが、手作業工程がある造作物にはまず墨打ちが必須。肝要な作業の一つだ。数百億円等の大きな建築現場には「墨屋さん」と呼ばれる、記憶違いでなければ普段の本業は鳶職かだが、墨を打つ事を専門とされる方がおられたぐらい。その工種により、紙の図面に描かれていた線を実際の躯体に手でもって書き写していく事で、高層建築群が出来上がっていったりする。

 

 本施主施工で高低差が最大の工種、薪ストーブ施工。その寸法、実に8m。そして、屋根、二階、一階と縦に三層が絡むだけに、成否は墨打ちに掛かっているとしても過言ではない、と思う。だが、ただでさえどこかに基準が採れなかったり、屋根を支持する母屋(もや)が丸太であったりするこの家にて、空中に線を出していくのは難儀。

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 既存家屋の採寸作業と3DCADのお陰で、各部の梁をかわしながら煙突位置は割り出せている。これを実際の家屋に、ストーブ設置位置である一階を始点として屋根と二階に反映させる。作業を進めても自分の線が確信を持てない。折角出せた線と、二階床板継ぎ目とが直交や平行で無いと不安になる。丸太材とそれに平行したい線両端部二点と距離寸法に差異がある。脳内で各種調整の上、墨打ちだけに凡そ半人工。建材も施工も機械化著しい在来工法家屋でならこんな事は無いかと思われる。

 

 屋根側をざっくりでも開けておけば、墨打ちにこれ程の時間は要さなかった。しかし、屋根開口は最低限しかしたくなかったので、その直下の母屋である丸太材を屋内最高点として行ったのだ。その甲斐あってか、無駄に瓦を取る必要は無かった。よって、同じく無駄に葺土も。

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 そして、ようやくお出ましの昔の防水材の一種、杉の樹皮。少々これは気になっていた。腐朽具合をだ。

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 引っ越し直後に行った北側物置小屋解体にて、その杉皮は相応の傷み具合があった。また、地面よりもさらに強そうな風が吹いているだろう屋根。一体何だろうか稲だろうかというような植物の茎や葉が、瓦下に盛られた葺土の隙間に結構溜まっている。そういう事もあり、雨水が瓦を逆流していたりもするのではないか。そうであっても別に驚かない。まずその水を吸うだろう葺土はまぁ良い。しかし、その湿った葺土と直接触れ合う杉皮は如何に。水は雨水だけでもないだろうし。

 そういう思索があっての母屋大屋根杉皮とのお目見え。結論はお父さんの杞憂。1cm弱の分厚いそれは、腐朽なんてどこ吹く風といった具合。一部瓦の針金留め等も含め、ちゃんと施工されていたんだなと改めて思う次第。