家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

意匠センス

 素人多能工の施工話はまだ続く。次は薪ストーブ炉壁の周囲見切り材取付。既に貼ったケイカル板、そしてこれから貼る石膏ボード。このままだと貼っているだけの状態。それをそれなりの見た目に収める目的。

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 このような「端」とか「際」とか「縁」とか。お父さんが思うに、意匠的に強い箇所だと考える。額縁が素晴らしい物だと、中身がへったくそな絵画でも何だか芸術的価値が高そうに感じる。炉壁の意匠性や雰囲気がイマイチでも、見切り材次第で「味」とかになるかもしれない。

 と言ってもその手のセンスに自信は無し。薪ストーブの背面となり炉壁の北側であるケイカル板上部には、二人は承知の通りの棒瓦を使用。結果は如何に。

 

 こういう事を書いたけども、見た目有りきが選定の第一義ではない。それは不燃材。ストーブ本体から距離が近い上方に位置する事になる見切り材。木材が何かと収まりがいいけども、こりゃマズいだろう。という事で、床に瓦なだけにここも瓦としてみた。

 この棒瓦というものは、屋根ではなく庭に埋められて使われるようで。そのようなものだからなのか、敷瓦と同じく寸法精度はやはりイマイチ。設置箇所のこの長さを満たす材も無いので既製品を繋げ付けたわけだけども、その隙間も空いている。けど、別にいいやという感じ。何故だろう。この材の個性の強さがそういう点を気にさせないのだろうか。それとも単にお父さんの感性か。

 

 この材に行き着く事になったのは、思い返せば本施主施工の着工前の一年間によるか。その時間を投じた対象の大半は設計と薪ストーブ関連の二つ。明るい内は北側敷地の薪棚作り関連作業、日が暮れると設計をしつつ、薪ストーブに関する色んな事の調べもしたりしていた。

 そんな中で決めていた事の一つ、炉壁の上にちょっとした物が置けるようにする事。飾り物を置く洒落た方もおられれば、関連道具を置く実用的な方もおられたり。お父さんやお母さん、それに二人はどうするかは分からないがあった方が良いとし、それに基づいた炉壁設計を行った。

 

 問題は棒瓦固定方法。以前に書いた通り、思いの外、取り合い土壁が平面ではなかった。それを吸収しないと各種真っすぐ材を取付られないと、木材による見切り材を既に取付済。よって、棒瓦が炉壁面からそこそこ出る形になり、上に物を置くか否か以前に棒瓦自体が落ちかねない。ケイカル板端部と木材に半分しか乗っていない状態。

 ってな事で釘による補助をする。棒瓦に穴を開けて、炉壁側に予め打っておいた釘頭を差し込む。そういう寸法。これで炉壁上部の見切り材は問題無しだな、と加工開始。

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 次、炉壁側部の見切り材。これは薪ストーブから遠い事、上部同材と縁が切れているから意匠的におかしくなさそうだ、というい事で木材を使用。しかし、ここで下手こいた。

 東側の側部見切り材の設置位置としては、炉床の廻り框材の上と設計時に考えていた。意匠的な収まりが良いからだ。但し、その位置にする場合、棒瓦を当材の天部に乗せる為には柱を回避する細工が必要、一部切り欠かないといけない。意匠的な収まりが悪いからだ。どう悪いかは、写真を残しておく。一目瞭然に悪い。

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 これをうっかり忘れていた。棒瓦の加工、及び釘打ちを先行してしまい、これらをそこそこやり直しする必要がある。あぁ、やるせない。という事で、やり直せずに上部との取り合いを優先。よって、下部は廻り框に乗らない事になった。変な収まりだな、と思ったとしたらこれが解である。

 

 棒瓦の本命固定法は木工用ではないボンド。改めて書いておくが釘は補助。ボンド固定がより強固になる為、それとボンド寿命が尽きた際に一気に落下させない為の釘。なので、金の延棒とかなら良いけども、落下により破損する高価な物は置いておかない方が良い。

 木材の固定法は定番化している隠しビス。素人は勿論、本職も多用しているっぽい隠し釘は何故か使わない。東側は、棒瓦設置前に上からの差込み。西側は既に上下決まっていたので横から。

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 棒瓦の隙間やはみ出たボンドを除くと、これにより完成。いざ出来上がってみると、棒瓦の見切り材は、思っていたより特段良くはなかったな。やはりお父さんには、若かりし時に目指した建築意匠の能力は特段無さそうだな。

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