家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

気持ち抜き施工

 さて、そんな貴重な薄板材が複数枚必要な箇所の施工、それは外壁。目下の所はキッチン新設壁の外側。

 先に書いた通り、板材に関しては新たに購入するしかないと設計当初時には考えていた。しかしその後、現在は解体資材保管小屋、将来は物干し置き場予定地に建つ納屋の解体が確定した事で方針変更。そこからの材料取り。

 

 厚さ問題は無い上に、羽目板としての加工が既にされている。経年により痩せたり割れ等はあるが、所詮は北側、人の目にはほぼ触れない。こりゃ完璧な解体材だわ、と流用する事としこれまた二年かそこら保管していた。

  この取付施工を行う。当該板を受ける胴縁材も解体材。間柱も壁土も竹木舞も貫も解体材。ほとんど再利用材にて新規の壁を造る事になる。その総仕上げ施工。

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 という割に気は楽。どうせ北側、さほど人目には触れない箇所。その想いが強い。こうなると施工は早い。ギャンギャン丸鋸で寸法切り。本来ならば、板巾を揃えて、釘頭も一直線に揃えるようにする。しかし、この施工ではお父さんはザックリだ。もう、ギャンギャン切っていく。これまでの自業自得憤懣施工をかなぐり捨てるように、それはそれはギャンギャンだ。

 

 しかし、勢いはここまで。例の水平的降雨をもたらした台風襲来で施工中断。板はずぶ濡れ。そして、反る。それはそれはもう、反る。よって、廻りの板を嵌める溝に板が入らない。ここでアイロン反り直し作業が発生、台風に憤懣しながら。

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 それでも直りきらないので施工を完全中断。乾燥を図って、その間は換気扇施工に切り替える。その後も長雨等で埒が明かず、施工を強行再開。

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 で出来上がったのは、本当に人目に触れさせたくない出来栄え。極め付けは、一部に羽目板同士がズレた状態で固定している箇所がある。金槌さえ握った事がない方の日曜大工でも、そんな失敗はしないかもしれない。それも見逃す、雨が入り難そうだからと。

 お父さんは、割り切るととことん割り切る性格だという事は自分でよく分かっている。施工精度に拘るような文言が多く、実際に気を付けているのはこの為でもある。そこそこで良いかと思うとトコトン手を抜く恐れがある。だから、その逆を行っているのだ。

 

 さて、この板は相じゃくりという加工がされている。隣同士の板がそれぞれを抑える細工。よって、これを解体して材の再利用を目論むならば、真鍮釘を抜くだけでなく外す順番がある。

 古色塗布施工中にきょうこに直接言ってみたが、間違いなく忘れるだろうから改めて書いておく。東西二面共、向かって左から三番目の板だ。これをまずは外さないといけない。思い出したかな。

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