家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

ほったらかし作業の着手

 キッチン天板漆塗り施工への邁進にて、ほったらかしにしていた施工。それらを進めて行く事にする。

 その一つ、キッチンの換気扇設置施工。換気扇はかなり前から現場に邪魔的鎮座。漆施工中断、及び台風襲来に懲りて壁を造っておこうと思った次第。本施主施工にて初めての機械設備工事。

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 この換気扇の壁下地のようにややこしい場合や、単に材料計算等の為に胴縁材等も3DCADには書き込んでいる。ただ、それは全てが施工通りでは無い。不足や訂正等を施工中に気が付いた分までは反映させていない。よって、将来に例えば壁に釘を打ちたいと思ったとして、CADを参考にしたのに下地が無いという事があるかもしれない。その点は留意しておいて頂戴。

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 さて、あれやこれやと木仕事。見る間に形になっていくのは当時のお父さんにとっては精神的リハビリ。

 見る間にと言っても1人工強を要す。当該換気扇の施工要領書は普通の在来工法用。最低壁厚も決まっている。その為なのか、当該換気扇導入を諦めた施主の方もおられるようで。この家も条件外だがそこは、ほれ、お父さんのやる事だ。この家用に諸々改変、よって時間を要した面がある。

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 次、防水の為の「アスファルトフェルト17kg」の貼付。そこらのホームセンター品。

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 その次、ステンビスとプラ丸板による炭化コルクボード貼付。そこらには売っていない品でコルクの本場、ポルトガル製。コルクを高圧高熱にて圧縮炭化させたもの。タイルではそこそこ見受けられるが、外壁下地材としては一般的な建材ではないようで。

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 これは新築検討時に出会った物。不燃材かつ断熱性や耐水性もある、らしい。この家に出会う前から、新築及び中古住宅改修の際、漆喰外壁にする場合に採用しようと思っていた。最大の理由は、通常の湿式外壁の下地施工よりも遥かに簡単そうだから。そこそこの価格だが、当時は手間も考慮していたので決定。その決定は本施工でも引き継ぐ。何だか土壁に通ずる材だと思った為。

 

 当壁には、要領書指定施工である排気ダクト用として以外には断熱材を入れていない。当壁の両サイドは開口部。このちょっとだけの壁に断熱材を入れても意味が無いだろうという理由。そして、石膏ボードで蓋をする。

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 そして最後、マシーン本体の取付。着手からここまでで3人工弱程かな。意外に要した。本来であれば外壁完成後から取付ると思う。本施工だと漆喰を塗ってからとなる。でも、それは意味があるのかと。油を混入させて撥水性かを得る法はあるが、漆喰自体は防水材ではないからだ。

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 お父さんはこれを常識だと思っていたが、在来工法居住者と思われるある若者からこの事を注意された事がある。本職不在で伝統構法を施主施工しているこのお父様が、こんな事さえも知らないと思われたのだ。これを違う取り方をすると、案外知らない人がいるような話なのかも。なので、漆喰の家に住んでいる二人にも一応書いておく。蛇足と思うが。

 

 で、一般的な施工法は、外壁材と本体の隙間をシールする事で壁内への浸水を防ぐ一手段となる。これ、外壁材がサイディングなら分かるが、吸水する漆喰の外面にコーキングを塗って何とする。

 伝統構法家屋の壁は、長い庇によりそもそも濡らさない。濡れてしまっても壁土が内壁面まで水を到達させない。そして自然に乾く。先述の油配合は土壁内部に吸ってしまった雨水の乾燥放出を阻害させないのか、と疑問に思うぐらいある程度は濡れる前提で造られていると理解している。コーキングの場合も、意味が無い上に放出の蓋をするのではないか、と考えた次第。

 

 どうしても塗るのなら漆喰の下、炭化コルクとの隙間かな。漆喰がその上に乗るかの心配はあるけども。まぁ、漆喰とステンとにコーキングが施されているのは何だかそぐわない、という見た目もちょっと気になる。と言っても、このステンレスのデカイ箱自体がそもそもこの家にそぐわない感じだけど、目立たない側の外部なので目を瞑っておこう。