家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

やっとの石膏ボード施工

 鉋が終わった柱を建てる。当然ながら天地が決っている。柱の上には既存鴨居、下には根太等々があるという事。よって、またもや斜めにして建てるので色々無理が出るわ、手間が掛かるわ。

 

 当該柱の足元直下には束がある。その上に大引、さらにその上に根太がある。この根太はキッチンと食品庫それぞれの床支持材として二本あり、これが重なってあった。

 既存束を撤去、大引切断、根太切断及び位置調整も一瞬考えた。当該柱を束石に乗せての建て方だ。だが、あくまで一瞬。これを行うと3人工以上5人工未満辺りを要しそう。構造上そこまでして建てる必要の無い箇所の柱にそこまで時間を掛けている段階では無い。漆が待っている。という事で、既存根太上に叩き乗せての釘留めにて固定。

 

 そう、漆が待っている。何にせよやらないといけない施工なのだが、気持ちは附随作業的な寄り道施工感で一杯。建てた写真さえ撮っていない。こういう心持ちだと下手をこくのよねぇ。

 柱と鴨居はホゾ差しを行っているが、ここに隙間が発生。鴨居の下面が斜めという事を見落とし柱を直角に切除。さらに、建具の溝を考慮し忘れたホゾを柱に作ってしまった為、そこが陥没している状態。落ち着いた施工をしていないとこういう事が間々起こるんだな。陥没は将来のお父さんが何か手を打つかもしれないが、隙間は放置しそうな気がしてならない。

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 不甲斐ないながら柱が建った事で、キッチン架台横であり食洗器棚下部の壁施工を実施。ようやく初の石膏ボード施工。あぁ、簡単でええわぁ。

 石膏ボード厚は9.5㎜と12.5㎜の二種類を使用する。薪ストーブ炉壁の一部には後者の方。場所が場所だけにだ。それ以外の箇所でも後者材も使用する予定だが、それは多少の強度を求める為と柱チリ寸による納まりの為によって選択する。お父さんの経験上、厚さ違いの把握までを施主家人がしておく意義は無いと思う。よって、特段その記録は残さない予定。

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 ところで、本職がされている石膏ボード固定法をお父さんは詳しく知らない。空気圧による釘打ちはよく目にしたものの、それが普通の真っすぐ釘なのか、抜けにくいような捻じれた釘なのか、はたまたビスなのか。気にして見ていなかった。抜けなければ良いか、と先の施主施工では普通にビス打ち。数年間の居住期間では問題が無かった。そういう事で、本施工でも同じ方法にて行っていくつもり。

 

 東側壁は既存柱間に設ける。「胴縁」の格子状に組んで石膏ボードの下地受けとしている。

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 と部材名称を書いてはいるが、お父さんは実の所よく分かっていない。この「胴縁」、縦材を「縦胴縁」、横材を「横胴縁」という記述がある。他方、縦材を「間柱」、横材を「胴つなぎ」という記述も。さらにまた違う記述も。これらの違いは施工者や地域によるのか建築学的に意味があるのか等々、しっかり分かっていない。

 いずれにしても格子面で石膏ボードを受けていれば問題無いだろうと。先の施主施工でもそんな感じ。しかし、本施工で違うのは胴縁の交差箇所をしゃくるようにした。先の施主施工では、縦材をどんと通して横材は寸切りの上でイモ留めしていた。本施工では横材が繋げる事に。 

 多分、それが本来の方法だと思う。本施工で改心して手間を掛ける事にしたのは、仕上げ面への下地材による影響を懸念した事による。イモ留めよりも下地が動かないだろうから、漆喰等の土壁仕上面に悪さを起こさないだろうと。

 

 但し、これは在来工法的な考えであるかもしれず。例えば、土壁の吸湿性にて室内を涼しくしているという論が複数あったりするのだが、それと同じぐらい些細な事かもしれない。伝統構法家屋の涼しさにおいて要因かつ重要な所はそこじゃないだろ、と。石膏ボードに珪藻土薄塗りにて吸湿性を謳うのと同種の土俵だな。

 胴縁をしゃくろうがしゃくらなかろうが、はこれと同様かもしれない。伝統構法家屋にて大差無いかもと。いや、寧ろ筋交みたいな阻害要因になるかもと思ったり、いやいや筋交程の影響力は無さそうと思ったり。おじいちゃん建築士を始めとしたそこらの建築士にも分からない話を、お父さんがあれこれ考えても正解は出ない。ならば正攻法でという事でしゃくっておく事にした。