家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

結婚するなら20代に

 控えめに合う、馴染む、これがキッチン台の色に求める所だな。と分かった所で、透明ニス等による木の素地現しはどうか。古民家での好事例と言えるぐらいのものもある。

 が、いざ考えるとこれもどうかと思う。この家は素地が出ている木部は僅か。ほとんどが古色。木の素地は結構目立つデザインかもしれない。

 それにお父さん特有の問題がある。誤魔化しが効きにくくなりそうな事だ。「どうせ古色を塗るし」。着色作業が好きではないお父さんであっても、これは本施工においては重要要素。一日コーヒー一杯分でも年にすれば大金、と同じで小さい事ながら結構大きな安心保険なのだ。これが使えなくなる、ましてや木工でとなると辛い。

 

 やはり着色は必要だな。と分かった所で、赤系はどうか。

 白系や黒系は脱落すれば、青系も黄系も緑系も消えた。いっその事、古色はどうかとお母さんから発案。だが、イマイチだ。柱や梁と違ってデカイ塊に使うには暗過ぎるし、それらと同色は埋もれもするし等々何だかイマイチ。

 

 という事でオレンジ色案が出る。赤系だし、明るいし、亜麻仁油と弁柄で作れそうだし。ただ、お父さんは消極的。色系は分からん。という事でお母さんに調合着色実験をやってもらう。この実験、実験とは名ばかりで感覚的かつ適当にやってしまう。一から全てを言わないといけないガキの使いなお母さんと、さすがに分かるだろうと未だにお母さんを過信するお父さん。

 この際に余った塗料を、餅を入れる箱であり現在は盆代わりに使っている物に塗布。作業者はお母さんときょうこと邪魔だけしていたりょうすけ。これはお母さんの両親、二人のおじいちゃんとおばあちゃんが結婚する際に、おばあちゃんのお父さん、二人からするとひいじいちゃんから貰った物だとの事。盆として酷使している事もあってか将来に遺っているか怪しいが、一応書いておく。

 

 オレンジ色案の代案をお父さんが出す。濃赤色だ。古色やキッチン天板と同色や反色にするのではなく、それらとグラデーション的な色にさせてはどうかと。

 きょうこは他案と当案を並べて見せると当案を支持。他の事でも大体がお父さんと同意見。外見も価値観もお父さんときょうこは似ているようだ。

 という事で、当分は可愛いだとか言われて恋愛機会がそれなりに多くあるかもしれない。しかし、それなりの年齢になるとそういう見た目の評価はされなくなる可能性がある。お父さんとお父さんの姉からして、残念ながらそういう素材かもしれない。よって、結婚するなら20代でしておく方が何かと良いぞと父は思う。

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 お父さん案での色実験も経てお母さんも当案を支持。簡単に意見や言動等を覆すのはお母さんの十八番。

 りょうすけはよく分かっていなかったからとは思うが、あれだこれだと適当に言った後に当案が良いと言う。りょうすけは外見も雰囲気も言動も感情の出し方もお母さん似と思う。飄々とした男になりそうだなぁ。恋人にその気がある内にそれをしっかり察して自分からちゃんと動かないと、ずるずる一生独身になるやもしれんぞと父は思う。

 

 代案者のお父さんは確信が持てなかった。何が正解か分からない。よって、皆も反対じゃないようだし、えいやとこれに決定、塗布。写真には何故か一回塗りの物しか無かった。ま、二回塗りは実物があるからいいか。

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