家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

伝統構法家屋とシステムキッチン

 キッチン架台の色検討。天板設置後に塗装するのは甚だ面倒なので、今やる。

 

 まずはシステムキッチンを参考にしてみた。賢い人達が総出で考えたのであろう、無難色から個性的色まで。キッチンに適した色はさて何か。って別に無さそう。では、この家に合うかどうかで良さそうだ。

 しかし、以前にも書いた通り、この中古住宅も世間一般では古民家と呼ばれるようなので含めるが、古民家に合うと思うキッチンは数少なかった。ほとんどは規格品のシステムキッチンであり、その為に途端に冷めて詰まらない家になり勿体なく感じたもんだ。理想が有ったのか無かったのかは知る由も無いが、それら全ての家主は無難路線を選択されたのだろうな。家主がそれで良ければ致し方無い。

 

 システムキッチンと一言に言っても、巷の現代在来工法に合わせた工業規格製品物のみを指すのではない。シンクとコンロと調理台、それに収納棚等を一体化させた物を言うらしい。なので、オーダーメイド品のシステムキッチンというものも結構ある。古民家にも合うと思った数少ないキッチンはこういう物だった。

 その幾つかは木の表情が露わ。古民家改修により非常に洒落た空間になったキッチンにおいて、設計者も気合が入っていただろう。代々住んでいる方ならば無難なシステムキッチンに改修するのはよく分かる。改修して新たに古民家に住まう決意をされる真の領域の人ならば、今更無難な工業製品キッチンは選ばない。その事に賛辞を贈るし後に続くぞ。

 そんなお父さんの造っているキッチンもシステムキッチン。セメントで造る事を発案しておじいちゃん建築士から絶賛されつつも、漆仕上げの木製になったわけだ。あれやこれや相当考えた。思考時間は人工数では計られない。賢い人達が日頃からそればかり考えているのと違ってこちとら単独素人。色の事までは考えられていなかった、苦手だし。しかし、もう答えを出そうじゃないか。

 

 工業&商業製のシステムキッチンに多いのは白系。白という色自体は良い。但し、キッチンは壁も白。

 巷の在来住宅にて白系ビニール壁紙に白系キッチンというのは山ほどある組み合わせ。おかしいとは思わない。だけども、天板がタモ木素地に漆仕上げ。さぁ、想像してごらん、異様に天板が浮いてくるではないか。システムキッチンに青色や黄色等原色を選ぶ価値観があればそれも良しかもしれんが。

 

 さらに、木製架台を白くするには化学的な油性ペンキでないと無理ではないか。そうなると、木目が見える薄塗りにしろ見えない厚塗りにしろ、違和感が出てきそうに思えて仕方が無い。古民家でのシステムキッチンへの違和感はデザインにだけではない。木や土等の中に別物の素材がデンと構えている事にもある。木の隙間にコーキングを打つような素材相性の類とはちと違う。ビニールを貼った大壁仕様の在来工法には合うが、自然素材の真壁仕様の伝統構法には違和感しか無い。

 

 伝統構法家屋に在来工法用システムキッチンというのは時間軸が合わない。こう感じてしまった為、お母さんと共にかなりの時間を費やした。結果、伝統構法用システムキッチンを自分なりに考えたが、同時に色も解決とはいかなかった。色は難しい。