家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

後は俺に任せろ

 本命なのは定尺か。そもそも定尺で考えていたし。設計図も定尺張りで書いてるし。

 2m材の一般サイズの定尺にしなかったのは割安になるから。根太問題があるので、長尺材の方がそれを抑えられるのではないかとも。そして、幅広い上に長尺というのはそんじょそこらには無い、贅沢で厳かな板床の空間が出来るのじゃなかろうか、と。特一等材でこう考えるのだから欲張りかと思うけど。

 

 で、改めて検討してみると4m材の意義があまり無い。キッチンやトイレや洗面室は6畳以下な上、用途上からも4m材のポテンシャルを如何なく発揮場所では無いだろう。やはりリビングとダイニングだな。しかしここ、形状はL字。4m材を張った次は2m材を2枚、若しくは3mと1m材の各1枚等、わざわざ4m材を切断して作る板を張る事になる箇所がそれなりになる。しかもそこはこの家の顔となる空間。むむ、如何なく発揮な感じにはならんような。何だか無駄があるような。

 

 張り方を改めて調べてみると気になるものがあった。「すだれ張り」だ。定尺板をずらさずに張り並べる方法。

 これはどうも神社仏閣に用いられたりする張り方っぽい。確かにそうだったような気がする。乱尺や定尺のように散らした張り方ではなかったような。写真があったので見てみると、長尺巾広板という事もあるのか何だか厳か。これじゃないのか、この家だと。

 

 但し、不安がある。張り方が散らさないからだ。木口側の継ぎ目が一直線になるように張らないといけない。根太精度問題がある。また、板は一枚一枚同じ物無し。散らさない事で、色目等の見た目違いが誤魔化し難いのではなかろうか。実際、この方法を採用されている居宅にての写真ではこの点が目についた。

 一方で、解決出来そうな気もする。継ぎ目一直線施工はよく分からないが何しか頑張る事として先送り。根太精度問題は、却って注力箇所が絞られるので対応しやすいかもしれない。そもそも、継がれるそれぞれの板はその継ぎ箇所は同じ根太に乗る。あまり気にしなくても良いかも。見た目に関しては、これまたそもそも濃色系仕上げにするからあまり目立たないかも。んんん、ざっくりな希望的観測。

 

 このすだれ張りを検索している最中、これを断念された個人の施主の方の記述を見つけた。お父さんと同じような感覚で採用したいと検討されたようだが、費用問題で諦められたようだ。

 巾広だったかは不明ながら、4m材採用はエンドマッチの現場加工を要す。大工手間賃が別途発生だ。お父さんはよく分からんが、4m材が故に張り手間が減る点もあると思われ、それで行って来いに出来んもんかね。工務店か職人の腰が引けていたんではないかな、長いと色々問題あるし。

 ただそれ以上に、4m材が高価だからだったような気がする。杉の特一等材ならまだしも、そうでなければ広くて長くなれば成る程、高等級に製材出来る可能性は低くなる。よって、高価になる。樹種によっては4m材の入手自体が障壁になってくる。

 

 分かる、分かるわぁ。節で悩むお父さんも分かるわぁ。でも、巾広4m材にて突き進む不変の決定事項。ならば本施工では選択肢に入る。

 巷の普通の家屋の施主の方がしたくても出来ないすだれ張り。意匠や施工面にこの点も含めてお母さんに説明。案の定、お母さんは一般的に少ない、難しい、出来ない、そしてこの家の風格に合うとしてすだれ張り推し。分かる、分かるわぁ。これにてお父さんは腹を括る。