家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

フローリング材の張り方検討

 床板割付図の作成着手。この手の事は極力避けたかった。漆塗布までに時間が無いから、では無い。まだまだ先の施工の事を、この機会に決定してしまうからだ。

 まだまだ先となる床板施工経験値が一定以上あれば、現時点で計画を立ててもその通り出来るだろう。そうではないお父さんは下手を打つ可能性がある。この事を己がよく知っている。出来る事なら施工時に材の仮並べをして計画をしたかった。いや、そういう算段だった、漆仕上げでなければ。そうも言っていられない。

 

 さて、まずは張り方の決定をしないといけない。

 よくあるのは「乱尺張り」かな。板材の長さが複数あってバラバラになるようにずらして張る方法だ。節を避けた材加工をしやすく、無駄を減らせられる。床の主張があまり無い。一般家屋に採り易い方法だと思う。

 次に来るのは「定尺張り」か。「りゃんこ張り」とも言う。板材長さを定尺とし、一定にずらしながら張り揃える。これもよくある方法だが節との闘いは避けられない。

 これ以外に斜め張り等のデザイン性が高そうな方法もあるが、この家にはそぐわないので検討除外だな。

 

 乱尺と定尺を掘り下げる。

 乱尺は材の無駄が減る事と、板の継ぎ目をあまり気にせずに張られる事が特徴と認識。一方で、本施工ならではの課題もある。エンドマッチ加工と根太精度だ。

 

 発注材は4mが故にエンドマッチ加工は成されていない。エンドマッチ加工とは端部の継ぎ加工というそのままの意。材の木口に施す本実加工の事だ。木端側の当然の如く本実加工は成されている。フローリングには裏面に反り止め加工がされている物が大半かと思うが絶対では無い。しかし、フローリング加工を発注すると自動的に行われるのが木端側の本実加工。フローリング加工とは正にこれを指す。

 木口側は違う。材が2mを超えると木口側の本実加工を行える業者がいない。加工設備が無いのだ。もしかして超長尺材用の加工設備が存在し、それを保有する加工所は探せばどこかにあるのかもしれない、どこかには。伝聞含めて聞いた事も文字で見た事も無い。

 

 これは、需要が無い事が大きいのではないかと思う。一般的農家でも大きな家屋が珍しくなくそんな自宅で冠婚葬祭を行う事が普通、そんな昔ならいざ知らずだ。フローリングが普及した頃の日本の新築家屋はせいぜい広い間は8畳、ほとんどの居室は6畳か4畳半。2m材で十二分。

 そもそもフローリング材自体が、効率的に材木を使えるように加工されている建材だ。細くて短い材でも継いで継いで広い面を創る事が出来る。10畳を裕に超える間を持つ家屋が増えた現代日本だけでなく、昔から居室が広くて森林資源も豊富そうな米国家屋であっても4m材クラスの長尺物は一般的ではないかも。どうだろう。

 

 乱尺で節を避け出すと、必然ながらエンドマッチ加工作業は増大。エンドマッチをしない選択肢というのは無い。根太精度問題がある。各根太の高さが一定では無い。ましてや違う居室同士を同床にするのだ。木口を突き付け合わせにすると、根太の高さ違いが素直に出てきて凸凹する継ぎ目が多数になりはしまいか。そういう理由。

 う~ん、乱尺は無いかぁ。