家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

ボタンの掛け違い

 が、今回ばかりは黙ってはおれない。しかし、内容からしてやはり無知が故の可能性が高い。という事で原則を守って勢いでは言わない。やんわりクレーム、或いは感情含みの質問。「この節処理具合はいかがなものなのでしょうか。」ってな具合。

 

 製材所の方は逆ギレする事もなく重々に分かってくれた。本品の加工可能な取引加工所は一社。同社加工材のこの類の事による、川中業者の材木商からクレームが無かったとの事。そのような事から検品は特にしなかったと。

 まぁ、多分そんな感じだろうとはお父さんも事前に承知。持って帰れと言う気も無い。持って帰って再加工してもらえたとしても同じ業者が行う。より良くなって帰って来るとは思えない。よって、質問の主たる内容としたのは、未納品である加工前残材は節埋め処理を取り止めは可能か、可能ならばその分の価格は見積から差し引いてもらえるか、と。

 

 これに対して快諾、さらには既存納品分の節埋め処理代も差し引くとの事。あぁ、もう十分。ここまでしてもらえるならもう文句は言わない。節埋め処理代は一枚当たり500円程と聞いていたような気がするが、値引き額は250円/枚。何故かその額の明記文書が見当たらない事もあるが、これまでのお父さんへの紳士的姿勢からもう十分、やはりこれ以上は言わない。なのにちょいと気になってしまったのは、多分文化的に摺り込まれた体質から。

 

 後日の残納品時、既存分の現物確認をさせて欲しいと。その際、生節は勿論の事、死節に関しては基本的に処理されないとの事。死節は別途パテ埋め処理となるそうで。抜節の見落としは単純に見落としのようだ。数が一つ二つじゃないけども。

 見落とし抜節は論外としても、死節を放置しては仕上がりとしては不良だろう。特一等材床を採用した一般的な施主はそれを許すだろうか。それを踏まえた上で今まで苦情や要望が無かったのはどういう事か尋ねてみる。

 すると、特一等による床材注文がそもそもほぼ無いとの事。安さを狙う注文は「生節一等」というものらしい。節は多くあるものの基本的にそれは生節、床材として穴が開いていない等級材。これは製材しないと分からない、狙って得られる等級材では無い。よって、さほど安い材ではなく上小節よりはという程度だと。人工等の材代以外の費用を考えると選択肢としてある等級材だな。

 

 ならば先に言ってくれよ。製材所社長の自宅はこの家のような家だとの事。という事はバリバリの日本家屋、もしかすると伝統構法。そういう事からも、こちらの家がどのような家かは製材所側も重々承知。ならば、特一等材の忠告は出来たのではないか。等級を上げられた方が売上も上がるし。

 

 そういう本音は持ちつつも、お父さんはこれまたそれは難しくお互い様の感じの方が強い。お父さんももっと強く確認しておくべきだった。楽観があったのだ。背割りで学べ切れていなかった。

 宮大工だったか大工職の中には、山まで行って立木を見て材指定をされる方もいるらしい。そのような方なら、植物としての樹木も、伐採についても製材についても、一定以上の知見をお持ちだろう。しかし、そうではない大半の大工職人や大工さんがイマイチか、となると全くそういう事ではない。製材職が大工職レベルの一般的知見等を持っていないからとして責められるものだろうか。

 という事でこれまた授業料を払って勉強させてもらった。あ、いや、今回は製材所側が払ったものだったな。