家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

錆漆もやる

 下地漆作業はまだ続く。次、以前にも書いた事がある錆漆の登場。

 何故錆なのか、とは分からない。用途はやはり欠損部等に埋める充填材。刻苧がコンクリートなら、錆漆はモルタルだろうかね。滑らかであり、小さい欠損部等を埋めたりするものらしい。強度は刻苧よりも弱そう。

 

 これまた材料を一応書いておくと、漆、水、砥粉(とのこ)。砥粉はその名の通り、刃物を砥ぐのに使われる粉。それだけでなく、漆に混ぜて使うと目止め材になる。元は粘土だったり石の粉末だったりと。購入品は元粘土っぽい塊状でやって来たので、ガラス瓶にてガリガリして粉にする。

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 これが意外に油断ならないのが水の量。粉類は全般にそうだな。セメントも小麦粉も砂も、途中までは水量がかなり少なそうに思える団子状なのに、一定量を超えた途端、一気に目標以上のドロドロにしてしまう。砥粉に関しては使用量が極少だけに水量も微妙。ドロドロになり砥粉を足して、再度水を足して、またまた砥粉を足して、と必要以上に作ってしまう。インターネットの親切な方がこの点についても解説されている程、油断ならないあるある話っぽい。柔らか目の錆漆完成。

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 さて、これの使用箇所は天板凹み箇所だ。鉋で剥いでしまい、生漆では埋まらなかった箇所。さらに、その箇所で大きい物やL字接合部に彫った溝に充填した刻苧にも重ね埋めをする。刻苧は木紛や麻繊維の為もあってか、顕微鏡で見ずとも肉眼で隙間が見える。牛小屋に落ちた物の内、乾燥し始めた牛糞表面な感じ。分かりづらいか。何れにせよ、これを滑らか仕上げにする為。

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 また、L字接合部の内角木端にも使用。大体、ほぼ直角のこの箇所は汚れが付いても除去がし難いはず。よって、予め弧状に埋めておく。これにも刻苧で粗方の形を作った上で、錆漆で仕上げた。これら刻苧硬化後に水砥ぎ、錆漆硬化後も勿論水砥ぎを行う。

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 これでようやく、ようやくのL字天板の下地作業が終わりだ。時は既に盛夏の頃。