家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

厄年も なってみないと 分からない

 さて、選ばれし民らしいと分かったお父さんは、キッチン天板漆塗布施工中に漆防護を簡易にしていた。綿埃の懸念が高い事と暑さから、防護用としていた綿の長袖ではなく半袖シャツを着用していた時の事。肘当たりに生漆を付着させてしまった。

 もう慌てる必要はない。何故なら漆神の申し子だから。落ち着いて漆を落とそう。いやいや待てよ。本当にかぶれない体質なのか試してみようじゃないか。自己人体実験だ。

  

 数時間後だったか翌日か、痒くなってきた。痒みの程度は蚊に刺されたぐらいで我慢出来る。しかし、これが蚊によるものより遥かに長く続く。数日レベルだ。

 それだけでは無い。表皮が剥がれてきた。深さは擦り傷の程の浅さながら。固着した漆を皮膚ごと剥がしているかのよう。血小板によりその箇所は塞がり、皮膚は一度再生。その後再び部分的に剥がれたのか、血小板再登場。一度で剥がしきれなかった漆成分を完全剥落させようとしているかのよう。この間も蚊レベルの痒みがある。完全に症状が治まるまでに数日は要しただろうか。

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 何だい、何だい、神の申し子とかじゃ全然無いし。内太腿の漆は一体何だったんだ。純テレがアレルギー成分だけ落としたのだろうか。謎が残った。しかし、分かった事はある。漆かぶれは体質であるならば遺伝子が影響するかもしれない。よって、二人も特異体質では無い可能性が高いぞ。

 

 漆作業期間の身体にはまだ謎がある。

 捨て漆の水砥ぎは作業の性格上、素手で行っていた。利き手はヤスリを持つので意味が無く、片手は砥ぎ具合の指触確認をしながらの為。二回目水砥ぎ作業の一週間弱後ぐらいからだっただろうか、手の甲側の指先から膨疹が発生し出した。これが痒い。とかく痒いのだ。

 これは掌には一切出ず。漆師匠サイトにて、木地が吸った漆の硬化が不完全な事により、砥ぎ作業中の掌に漆が付いた記述があった。硬化条件からして考えにくかったものの、砥ぎ汁に未硬化漆が含まれていたのかと当初は思っていた。

 

 この膨疹は拡がっていく。手の甲指先から指元まで。前腕部外側、大腿部表側全面を斑に。これがやはり痒い。作業中よりも夜中に目が覚める程に来やがる。暫くして治まって来たと思いきや、再度出てきたりもする。これら全箇所に漆が付着したとはどうにも考えられない。治まった後にまた付着、は尚更で絶対に無い。

 謎のままながら作業は止まれず続行。四回目砥ぎをする頃、三回目砥ぎの一週間強後にあたるが、その頃にはほぼ症状はマシになっていた。

 

 漆に軽い恐怖心が芽生える。まだまだ漆作業がある為にこのままだとよろしくないのでお父さんなりに推理。

 

 薬を避けるお父さんでもさすがに使用。抗アレルギーの塗り薬や服用薬。これを境に症状緩和が為され、暫くすると再発。よって、やはり何かしらのアレルギー反応かと思っている。

 水砥ぎの一回目後や四回目後にはなく、何故二回目以後に強く、三回目以後に弱く出たのか。それは、砥がれた硬化漆の粒子の大きさの違いによるのではなかろうか。一回目のそれは大き過ぎ、四回目は小さい過ぎ。だけども二回目や三回目は、皮膚を刺激するには丁度良い大きさだったのではなかろうか。

 となると、未硬化漆ではなく硬化した漆が粒子レベルとなり悪さをしたのではなかろうか。硬いガラス繊維が皮膚に触れると痒くなったりする。これと同じ具合で、漆だけに酷かったのではなかろうか。

 かぶれではなく膨疹だった事は見当付かず。もしや、お父さんの年齢による体質変化があるのではなかろうか。硬化漆粒子はスイッチであり、これに反応してしまう体質になっているのかと。ならば、付着していない箇所の説明が付くかもしれない。完全なる素人推理だけども。

 

 一昨年は体感温度激変により脳幹異常を疑い、昨年は目眩によりやはり脳幹異常、又は三半規管異常を疑い、今年は漆を含めた化学物質への過敏体質を疑う。こういう事が噂の厄年というものなのだろうか。漆云々さて置いても、本当に体調体質が変化していると考えずにはいられないお年頃だ。