家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

アイロン工具の習得

 一回目捨て塗りを表面だけで終わらせたのには理由がある。キッチン天板の一部が反っている事に気付いたからだ。

 箇所はL字型の短尺端部。ここは反り止め桟から距離がある。桟を入れた際には反ってなかったような気がする。梅雨目前の頃、土壁の家屋だろうが湿度は高まる。そんな日が続いた事で反ったのではなかろうか。

 

 反り方は裏面が膨らんでいる形状。表面は漆で封をし湿気吸収を抑えた上で、裏面は乾燥を待って反りが収まるのを期待して待ってみた。が、何度も書くが時は梅雨目前。湿度が依然として高め。埒が明かない。

 同じくキッチン天板の加工時に記載した板反りの矯正方法は、水を含ませたり重しを置く事。今回はこれが使えない。水を含ませて、というのは木を膨らませる目的。膨らませたい面は既に漆を塗ってしまった表面。

 

 という事で困った時のインターネット、これにて解らしきものを発見する。アイロン使用法だ。アイロンにて熱を加える事で木内部の含水を蒸発させる。それにより収縮させてしまう、というお父さんにとっては願っても無い方法。

 しかし、この方法に対してケチが付いていた。何を言っているんだ、熱を加えたら木が膨張するだろうが、という弁。俄かに信じ難い。木の膨張収縮は、水による物のはず。木の細胞等が熱により変形しているわけではないと思う。そりゃ、多少の膨張等があるかもしれないが、それよりも水の有る無しじゃないのかよ。

 少々迷う。ここで裏面からアイロンを当ててさらに反ってしまうとお手上げ。熱による膨張だったら乾燥しても反り直るのだろうか。直るとしても、恐らく梅雨期が終わる頃になるのではなかろうか。そのケチ意見の通りならば、今まで梅雨期に向けた漆塗布工程が無駄になる。

 

 と言って、反りの自然収縮を待っていたらいずれにせよ梅雨期が終わるぞ。という事でアイロン使用法を実施。結果、成功。一時間かそこらで矯正完遂。

 なんだい、なんだい。インターネットの横槍意見に振り回されてもうたわ。玉石混合の中、筋の通った内容か否かを判断するのはやはり自分。これでまたお父さんは自我が強くなったわ。