家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

漆実験サンプル板補足説明

 これは漆実験にはすこぶる都合が良い。それはまさしく荒材という所。漆塗布をする木地の加工はどこまで手を抜けるか、これも知りたいから。

 というわけで、それらの板に鉋とサンダーを掛けたが、これはしっかりと掛けていない。そこそこだ。板面に凹みがあってもそのまま。その凹みに漆が入ると溜まるのか否か。溜まった場合でもちゃんと硬化はするのか否か。この結果を一応書いておくと、大して溜まらない。塗った後の拭きとり以前にてあまり溜まらなかった。

 

 やはり漆は、少なくともこの足場板材である杉にある程度吸われたと見る。それと、、木地をちゃんとした面にしておかないと、漆を塗っても木地の凸凹は出てくる可能性が高い。三月のこの漆実験にてこれを把握した事により、六月のキッチン天板への鉋掛けはかなり躊躇った。それでも実施した理由は後述。

 このついでに、漆の硬化についてもう一つ。後日となる漆塗布作業時にて、塗布物から取り除いた余分な漆を放置観察してみた。放置場所は金属板。それから一月以上経ち温度湿度共に十分な環境ながら、硬化しているのは表面のみだ。樹液である漆が、動物で言う所の血小板に当たるのであれば当然の事だな。

 

 さて、漆の硬化具合以外は、保管しておくので漆実験した元足場板サンプル品の板群を見て貰えればよい。

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 と残念ながら言えないような気がする。サンプル板に何を施したのかを漆にて記入した。揮発性の油性ペンだと恐らく消えるからだ。顔料含みの亜麻仁油塗料でだともしかすると百年、二百年と残るかもしれない。が、実験塗りした漆の方がちゃんと残っていないかもしれない。という事で、実験塗り材と合わせて漆にした。

 しかしこれが上手く行かなかった。最初、絵筆にて書いたが漆が木地にほぼ乗らなかった。次、鉛筆状に木を削って漆を付けて書く。いざ木地に乗ると逆に思いの外伸びてしまい、何を書いているのか判読困難な箇所が出た。一体、何で書けば良かったのか見当つかず。

f:id:kaokudensyou:20160808192211j:plain←さて、何て書いているでしょう?

 

 そんな訳で補足説明をしておこう。大きく分けてまずは二種、「鉋」と「サンダー」の仕上げ。先述したやつだ。板の上部端に記入。その下段には、塗った物を塗った順に記入。「柿渋」「薄口」「生」「MR」の四種ある。ほぼ漢字で記入したが、あまりに書き難い為に平仮名にて試みた箇所も一部ある。

 「薄口」とは「薄口生漆」の事。色目が薄い生漆。生漆としてはこれだけで完結させない下地中の下地塗材らしい。極力材に色を付けたくない際に、最初に塗って置く生漆だとか。

 「生」は「生漆」の事。もうそのまま、生漆だ。