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家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

床板漆施工への投資意義

建材:塗料 設計・施工・伝統構法

 信州現場からお土産を頂く。古民家先輩が塗った漆板の端材だ。お母さんにこれを見せると、お父さんと同じような「ふぅ~ん」というような反応。彼の好意と投じた時間費用は残念ながら効果薄。この時点で「見た目」要素は完全に無くなる。

 彼の施工床以上の見た目の艶感を求めるのなら、彼が行ったよりも摺り工程数と漆使用量を増やせば良い理屈は承知していた。逆方面から言ってみると、期待の見た目に近づけるのなら人工数と費用を増やさないといけないかもしれない。はぁぁぁぁ。

 

 じゃ、「お金」要素だ。

 この時点で塗装工事の残予算は7万円程。既に亜麻仁油は大量にある。弁柄等の顔料や柿渋も少々ある。これから買う物はキッチン天板用漆と、鉄部への油性塗料だとか刷毛をいくつか。それと、床塗膜材として必要な亜麻仁油等だろう。となると塗装工事予算はトントンか、上手くいくと少々余りそうだ。お父さんの見積精度はなかなかだな。

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 と思っていた。しかし、床板への漆塗布となると全く変わって来る。国産ではなく支那産であっても、床漆だけで20万円は超えそうな具合。あぁ、お父さんのこの計算、間違っていて欲しい。

 

 さて、古民家先輩は今後の床油拭き直し費用が浮いてくる、故に行って来いになると言い、お母さんはこの時点で漆でも可となる。しかし、お父さんはこの考え方はあまり良しとしない。

 お金とは何か。経済学で理論的に説明され尽されているかと思われる。この他、偉人や著名人等が感傷的、叙情的、皮肉的等々、兎に角色々な表現をしている。配給券や引換券等とはまた違う、物品や役務の対価だけでないお金。十人いれば十通りの解があるのかもしれない。そして、その答えを聞くとその人の人間性を垣間見られるかもしれない。

 

 お父さんがあまり良しとしないのは、現在の「改修予算」と将来の「維持費用」とを同じにするとキリが無くなる恐れがある、と考えるからだ。もっと言うと本件に関わらず、同じ我が家のお金であろうが財布は別にしないといけない、としている我が家の家計管理法の精神に反するのだ。

 キリが無くなるというのは、お金とはその人間の考え方次第でその価値は変わってしまう性質があるからだ。これを説明し出すと、経済学部出身でないお父さんが経済学的な話をする事になるから止めておく。

 ただ、二人がそれなりの年齢なら分かるはず。消費性借金を抱えている人が多いのは知っているだろう。その人達の中には、已むに已まれずではない贅沢をしているのにその自覚がない、という人が存外いるらしい。そういう人は、自分のお金全てには全く色が付いておらず、それには将来の自分のお金までをも含んでいる、と見て間違いないかと思う。

 

 現在の「改修予算」に将来の「維持費用」のお金を混ぜる、と言って何も他人に借金をするわけでもなし、と見るか。いいや、同じ事なのだ。他人からなら対価として金利を支払い、自分からなら支払いは無し、という違いだけで他は同じ。

 内容によっては金利を払ってでも借金を、という事案は色々ある。借金が駄目だという意味では全くない。もしそれが事業や投資目的で、金利支払いをしてでもそれを上回る利益が見込め、且つ今現在から始める意義があるならば、その借金は良い借金だ。

 もしかして以前にも触れたかもしれないが、住宅ローンも同じと見る。土地家屋の売却代金で返済出来ない、他人に土地家屋を貸し出してその賃料で返済出来ない。それならばその住宅ローンは、消費性要素が多い悪い借金。現代住宅の問題点の大きな一つとしてお父さんが思うのはここだ。固定資産の家屋が耐久消費財の類だなんて悲しいお話。

 

 本施工において人工代は、無視された挙句に資産性よりは消費性っぽい類。この時点で、お父さんはあまり偉そうに経済的な事を語られないけども。まぁ、少なくとも額面に現れる事だけは気にしようとは思っている。そういった事から床板への漆塗布は投資目的、イコール「改修予算」としてお父さんは見る。額も大きいしな。

 亜麻仁油による床塗装を二年に一回行うとすると、漆との損益分岐は果たしていつか。亜麻仁油一斗缶は1.6万円強。最初の塗布量は多いだろうな。だが、何回か目を過ぎるとあまり量を必要とせず、一定以上になると縁側縁甲板のようにもう塗らなくて良い具合になるかもしれない。翻って漆は前述通り20万円以上。

 それぞれの塗料の確定必要量と時間経過具合が判然としないので厳密な計算が出来なかった。よって、絶対の回答は出せなかったのだが、どうも一概に漆が元を取るとは言え無さそうと見る。そういう物への投資は安易に出来んのよ。