家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

「答えを知ってからグダグダ抜かすな、腰抜け野郎共が」話

 はい、次。天板の持ち上げ対策とL字接合問題の解決。

 

 天板を持ち上げた状態にしておく、となると馬に載せてしまうのが一番簡単。馬は三台のみなので追加製作をしようか。

 しかしながら、馬材料に使えそうな角材は残り僅か。さらに、普通の馬では低すぎる。施工開始前に造ったホームセンター杉角材製の馬はわざと高めにした。腰負担軽減の為。これによる重心バランスはギリギリだけれども、天板裏塗り用としてはまだ低い。天板を1m程は揚げる馬となると、他用途はなさそうだし、使う事があっても倒れやすい支持具はいかがか。この為の馬は材料費は高いのに、汎用性は低いが危険性は高いってのはなぁ。

 

 そこでお父さんは考えた。胴縁材として購入済の細木材を駆使する。簡易馬だ。天板反り止め桟に掛けるようにして支持するのだ。

 解体材もあるのだがそれは完全乾燥材。何だか勿体ない、と4mで500円弱の購入材の方を使用。ただ、それでも勿体ない気がしたが、そこは1mの高さの物を作るのだ。用途が終わって分解すると、当たり前ながら1m程度の材に戻る。本来の胴縁にも使える長さだ。

 という事で5台製作。費用は全部で二千円ちょいする計算だが、分解再利用すれば千円以下ぐらいになりそう。その後さらに、揚げた天板の高さ調整を可能にする材、強度向上の為の筋交材を追加。それでも許せる費用だと考える。

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 だがしかし、1mは高かった。お母さんの筋力では長尺側の板材をここまで揚げられない。既存馬に仮載せした上でようやくだ。

 だがしかし、この天板はデカかった。天板加工と漆塗り作業に程よい位置を探るが、二人がかりでちょっとした移動なのにどこかに当てそうになり上手く行かない。簡易馬の足が床に引っ掛かりもする。ガガガと動いて微調整が出来ないのだ。

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 これは非常によろしくない。この調子だと、板接合時に動かしてドッキングさせる事も難しいはず。動かせても短尺側板を長尺側板にガンガンぶつけながらだ。その時は恐らくお父さんの単独作業だろうから尚更。さぁ、考えろ。

 で、考えた。短尺側簡易馬にキャスターを付けるのだ。これが上手く効けば横移動がスムーズに出来るはず。百円ショップ探索の末、良さそうな物を発見し取付。

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 すると、長尺重量物の移動に悩んでいたのが嘘のよう。簡易馬が1m程ある事によりバランスが悪いだけで、それさえ気を付ければ単独で数ミリ単位にて動かせられる。これか、これが答えだったんだ。ならば、とキャスターを追加購入の上に長尺側簡易馬にも取付。動く、動くよ、簡単に動くよ。逃亡社長とその仲間達の御影石切断のような愚行を犯さずとも、知恵と工夫と手間により非本職者が一人当たり70kg強の仕事をこなしてやったぞ、てやんでぃ。

  リビング等から長距離移動させる事も、このキャスター付簡易馬があれば可能ではあったな。床が無い所は板を付け、既存柱へはしっかり養生をした上で。これで目下の頭の痛い問題は乗り越えた。この運搬支持具のもう少し発展させた物を事前に計画と見積と段取りをする熱意があれば、御影石天板搬入も設置も恐らく出来ていたぞ、てやんでぃ。

 

 こういう事がある度に、施工者任せや、思い付きだけの理詰め不足のままかで施工側理論を乗り越えずに引き下がるような設計者任せの施工は駄目だ、と強く思う。施工者や設計者の熱意具合任せ、と言い換える方が正確か。

 コロンブスが新大陸を発見した事にやっかむ人達がいた。コロンブスは彼らに対し、卵を立ててみろと促すが彼らは出来ない。するとコロンブスは、卵の底を割り凹ませて立てて見せる。なんだそんな事かと首をすくめる彼らに言い放つ、「答えを知ってからグダグダ抜かすな、腰抜け野郎共が」と。

 これがお父さん脚色の「コロンブスの卵」の逸話。分かる、分かるよ、コロンブス。規模はかなり違うけども。