家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

貧弱体制

 さて、何が問題か分かるだろうか。

 お父さんやお母さんの乱心行為とかが無ければ、二人はキッチン天板は日常的に目にや手にしているはず。

 その天板、反り止め桟を除いた正味のタモ天板のみの重量は凡そ50kg台半ば程。コンロとシンク設置の為の穴開けをする前だと凡そ70kg強。前者は現在のお母さんより少し重く、後者は現在のお父さん並み。現在のお父さんの筋力だとお母さんは何とか持ち上げられると思うが、自分自身は甚だ怪しい。

 さらにその天板、外寸は横3.9m弱と縦1.8m弱のL字。この形状の物で、例えば発砲スチロールか何かによるもので10kgも無いとしよう。それでも、現天板加工場所のリビングから設置位置のキッチンに入れるとなると、お父さんはどこにも当てずに移動させる自信はあまり無い。

 

 そう、長尺重量物だから悩んでいるのだ。出来上がった状態しか知らないで「これしきの事で」とか侮るなよ。こういう事は立派な懸案事項なのだ。元請けが大手や零細に関わらず、建築現場等にて長尺物や重量物の搬入なり移動なりが、やはり懸案事項になる事は日常茶飯事。

 本施工着工前に行った見学家屋にてキッチン天板が御影石の所があった。形状はそこそこ大きな単純長方形であったが、それは切断した上で搬入され、その継ぎ目にはコーキング。今でも思う、段取りを下手こいたか、工程の工夫が面倒で手抜きしたか、設計者と施工者側の意思疎通不足か、その他あれかこれかいずれもか。

 知ってるよ、御影石がどれほど重いかなんて。しかし、彼らは脳みそをそれぞれ一つ持った上に全員が本職。重くてデカイ石を踏まえての設計であり請負契約。あんな立派でお金が掛かっただろう石天板を、自分達の不甲斐なさで切るなよ。強靭な精神を持った施主じゃないと切ってはダメだなんて言えるもんじゃないぞ。

  

 さて、こちらは施工脳みそは俄かレベルが一つ、人手は並みのオッサン以外に、最近筋力の衰えが著しい中年女性が一人と思春期にはまだまだ遠い子が二人の現場。他人の本職現場の不甲斐なさを批判しても許されると思う程の貧弱体制。

 タモ板を前倒し注文して探検さん第一回目ご訪問前に合わせたのは、運搬人手問題から。その時は大小のタダの長方形板が二枚、且つ運送業者さんが手を貸してくれて難なく事を成す。しかし今回はL字型という形状、且つ接ぎ部分とコンロ等の開口加工による強度低下。恐らくお母さんとは持てないし、持てたとしてても板を柱や壁にぶつける事必至。養生で凌ぐとしても重量物だけに相当な養生が必要。それでさらに重量増。あぁ、まいった。