家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

灯台足元の暗い所からの伏兵

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 準備は整った。今度こそは上手く行くはず。トラウマ作業だが意気揚々。で、作業実行。

 しかし、おかしい。ホゾと桟の巾は良い感じ。パイプクランプ挿入も途中まで良い感じ。いつか見た画像のように、手だけで廻し込めていけそうだった。だが、挿入の最後あたりになると急激にきつくなる。

f:id:kaokudensyou:20160703155051j:plain←電線は平面化の為の強制重し

 

 新規購入したパイプクランプは、いかついのに弱かった見てくれだけの以前の物よりも、男前なのによくやってくれていた。凄く気持ちが良い操作性の上、強度もあって安心感もある。男前な上に人柄も良いし仕事も出来るなんて無敵じゃないか。こういう道具と友達になれるとお父さんは凄く嬉しい。気安さしか取り柄が無くて、手間ばかりかかるくせに感謝もしないは見返りもないはという奴はもういい。

 が、最後は前回も使った単管パイプ治具がないと回せなかった。そして今回もパイプクランプ一部破損。お父さんが無理をさせてしまった。この破損具合は、粗大ごみ化せずに部品の組み換えだけで済むものだったので助かった。挫けてもすぐに立ち上がるなんて見上げた奴だ。

f:id:kaokudensyou:20160703162247j:plain←ネジ部が割れちゃった

 

 それにしても、おかしい。この急激な変化、というのがおかしい。前回の短尺材の際は現時点より準備も計画も不足の上、諸々上手くいかずだった等で視野狭窄状態だったのかもしれない。今回はちょいと違う。理由が分からずともおかしさをおかしいと感じる。冷静っぽい。

 

 作業中断、観察と考察。しかし、解は得られず。

 板の平面定規として使っていたアルミ製1m定規のせいにしてみる。この定規の注意書きには、「温度変化で伸縮するので精密作業には使うな」とある。平面を見たり治具作りに使用していたが、実は定規自体に狂いが生じていたのではないか。木材、鉄、ガラス、平面っぽい物に当ててみると狂っていなさそうだが、そもそも木材等は当てになる物では無い。そこで、本来欲しかったが高くて断念したステンレス製1m定規を発注してみる。1m定規は二本もいらないが、アルミ定規に不信感を持ってしまったので致し方が無い、と。

 

 日を改めて、ステンレス定規が到着するまでの間も引き続き観察と考察。ふと、アルミ定規にて挿入した桟あたりの板の平面具合を見てみる。アルミ定規を基準としての平面化を施した作業だったはずなのに、定規と板の間には若干隙間があった。アルミ定規に狂いがあり平面になっていなかったとすると、この隙間はほぼ無い状態でないとおかしい。

 もしや、と桟作りを行ったソー&トリマテーブルに駆け寄る。アルミ定規と天板に隙間がある。アルミ定規は狂っていない、この天板が凹んでいたのだ。

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 トリマテーブルとして、固定されたトリマビットのみが天板から出る。お父さんのこの方法だと、ビットと材はほぼ点接点になる事が多い。

 どういう事かと言うと、例えばソーの方で言うと線接点だ。天地逆の丸鋸刃を天板から出して材を切る場合は、左右のブレさえなければ狂った切断とはならない。しかし、丸鋸刃の出代ギリギリ一杯の高さがある材の場合だと、材が上下してしまうと垂直方向の狂いはなくとも切断できない所が残る。分かるだろうか。丸鋸の刃が付いている切削箇所はその外周のみ。回転させると、切断したい材に垂直線のように刃が入っていく。

 トリマビットで尚且つ今回の蟻加工はこのようには行かない。説明しようとここまで書いたが断念。実際にした事も見た事もない人間に、文字だけで説明出来る能力はお父さんには無さそうだ。兎に角、この天板の凹み形状に応じるような蟻桟を作ってしまっていたのだ。

 

 その蟻桟を多分平面化していたキッチン天板材に通したものだから、途中から非常にきつくなった。それでも挿入したものだから、天板をわざわざ凹ませてしまったようなのである。これにはまいった。お父さんの凹み方は、これら天板の凹みよりもきついものだった事は二人にも想像出来るのじゃなかろうか。