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家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

自然素材の建材化の大変さ

 この手記で度々触れる有名な左官職の方が、施工現場近くの土を複数採取、それを左官材として使われた映像を見た事がある。自分が左官施工をするとは思っていなかった当時のお父さんは驚いた。

 しかし、これ、よくよく考えると当たり前の事だな。洋の東西を問わず、建築物というのはその土地で得られる物で造られて来たからだ。昔の建築や建材製造の職人はこのような凄い事を当たり前にやっていた。当たり前に凄い事をやっていた。現在のような分業構造かつ技術進歩かつ機械化にて、こういう凄い事をしなくてよくなった。それはそれで凄い事だと本施主施工で初めて思う。

 

 こういう事をやっているお父さんも凄い、と言いたい所だがそれを通り越して我ながら呆れ気味。土材中塗り施工についての長い記述、あれは施工後に考え出した事ではない。施工前と施工中での内容がほとんど。真冬に準備を始めて初夏近くに終えるまで、ずっとああいう事を考えながら過ごしていた。客観的に見たら引くわ。

 このような類の施工についてとことん書き出すと長くなる。これが、その気になれば小学生でも施工出来る新建材なら知れているが、自然素材施工ではとぉんでもなく長い。さらには建材から作ったり段取りするもんだから、文量が尋常じゃなくなる。今回の中塗りについてあれでも省略をそこそこしている。素人が文字に起こすのも尋常じゃなく労力を要し、また読み手も大変に違いない。

 

 そんなわけで改めて割愛に努めようと思う。建材作りは、ドングリから植栽樹木を、半原木の大引太鼓材から梁材を、そして藁と泥から左官材、これで終わりだ。まさか、亜麻仁から油を、石灰石から漆喰を、粘土から瓦を、銅鉱石から銅板と銅線を、そして銅線から電線をお父さんは作ったりしないはずだ。買うよ、買う、買う。分業万歳、貨幣経済万々歳。 

 と強く思っていたある日、原料から建材を造っている物がまだあった事を思い出す。階段踊り場束柱だ。黒ずんだ灰汁がまたまた表に出てきているのが目に入って来た。土の次はまた木かよ…

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 本改修施工での木材供給をしてくれている製材所のお若い方のお話ぶりから、この束柱のような大口径原木化粧材というのは供給出来無さそうだ。ノウハウがないのだ。カネで解決する為には、床柱を仕立てるような専業者を改めて探さないといけない。見つけられた所で二桁万円とかっぽいし、そもそも直径60cmクラス材を扱っているのかどうか。貨幣経済の大元はやはり人。

 高圧洗浄機一回で終わる事に期待したが、今後も行っていかないといけないのか。いっその事、塗装を施すか、若しくは八角形材に加工してしまうか。あぁ、どうしよう。「一体誰だよ、こんな事考えた設計の先生はよぉ~」と施工専業なら愚痴る所だが本人なもんで致し方が無い。

 

 灰汁なぁ、あく、アク、AKU? 木のあく? 思い出した。木の灰汁について向き合うのは初めてじゃなかったわ。それは薪でだ。

 

 薪ストーブが稼働する家に住んでいるはずの二人なら分かるだろう。薪の乾燥は、割った直後は屋外にしばらく放置。そのうち雨が降る。構わない。乾燥させるのに濡らすだなんて可笑しな話のようだが、これは導管開放の為らしい。木は乾燥し出すと導管を閉じる。板が反るのは恐らくこの動きじゃなかろうか。雨曝しの天日晒しをする事で何故だか導管を塞ぎにくくするんだと。暇になったら顕微鏡で見てみるか。

 そして、何より灰汁抜きの為でもあるそうで。灰汁が抜けた方が乾燥しやすいそうだ。灰汁は導管を塞ぐ要素とかかもしれないな。薪ストーブが稼働していないから比較検証が出来んから全て伝聞止まり。

f:id:kaokudensyou:20160606192032j:plain←屋外晒し二年以上物のシラカシ