家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

「濡れ砂に焼き」

<材の準備>

 大斑直し開始より気になっていたのは、由良川高級砂の具合。塗り壁表面に小石の引き摺りが起こるのだ。

 

 これは何も当該砂だからと言う話ではないはず。何かしらの設備で篩いに掛けられているだろうが、これには限界があるはず。当該砂は粒度5㎜以下物として販売されているが、お父さんの知る限り他建材業者も大体同じ。

 この時点で壁塗り厚は最大5㎜となる、というわけではない。実際は5㎜以上で砂利レベルには到達しないものの砂なのか、という砂と言うのか砂利と言うのかの物が結構入っている。どういう設備で篩われているのかは知らない。普通の篩のように金網のような物に通しているならば、5㎜マス目で5㎜以下材とはならない。マス目角の対角線寸法は7㎜強となってしまう。砂利の形状次第では5㎜以上でも篩を通ってしまう。その砂利紛いに当たると確実に引き摺り発生。これが塗り厚が厳しくなる中塗りだと多発する懸念があった。

 

 さぁ、どうする。数百kgの砂を手で全部篩うのか。とんでもなく億劫だ。何とかならんか。考えてみても頭上に白熱電球は灯されない。その状況下で大斑直しが終了、中塗り突入。案の定、引き摺りに手間を喰う。誤魔化し誤魔化しで施工するも、中塗り重塗り事案が発生。こうなると篩い作業はもう避けられない。

 左官施工の傍ら、砂の篩い作業も実施。折角攪拌機で効率化出来たのにここで足止め。それに、手持ちの篩で振っていくがお父さんにとってはこれがまたキツイ。腰に来るのだ。よって、足を大股に広げて腰を落として背筋は延ばし、篩った砂を受ける一輪車高さに下げ合わせて篩いを使う。傍から見ると何とも変な格好だったろうな。

 

 篩い作業を楽にする素敵な篩製品がある。しかし、価格は一万円越え。自作するのは億劫。という事で、このような単純補助作業役はお母さんに振ろう。相談してみると、一万円越えで後用途が無いならばやると言う。これで一件落着。

 

 と思いきや作業スピードが追いつかない。お母さんが遅い、という事でもない。きょうこも手伝ってくれて篩い作業自体は好調だった。が、屋外置きだった砂が濡れていて篩を通らないのだ。作業が進めが進むほど下にあった砂は水分過多。お母さんが停滞する事で、居ない時にお父さん自身が篩う破目になり手痛い。あぁ、腰痛い。

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 ある週末、これではイカンと砂を焼き乾かす事にする。しかしこれ、「焼け石に水」ならぬ「濡れ砂に焼き」。あまり効率的ではなかった。

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 結局、一番なのはお日様頼り。地面直接置きから、炉台用敷き瓦配送時のパレットに載せる。やはりパレットは役立った。その上で、週末以外に砂表面積を極力確保しながらの、混ぜながらの日光照射。それをもって週末に篩う。それでもストック不足するとお父さんが篩う。という次第。

 これら砂篩い関連作業だけで2人工弱は要していると思う。砂相手のこの人工数は全く大変。この作業でちょっと良かったと思える事は、この由良川砂が本当に川砂だと確認出来た事だろうか。篩った事で出た砂利紛いのほとんどは、角が取れているものだったからだ。手間暇掛けて出たこの砂利紛い、捨てずに何かに使ってやるぞ。

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