家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

材配合の不安定さ

<材配合の不安定さ>

 建物建設に伴い、施工者から「施工要領書」というものが施主に対して作成される。「施工要領書」とは簡単に言えば、その現場での施工具合の説明書のようなもんだ。ISO絡みか何なのか、ゼネコン元請の大きな現場だと必ず作成を求められる。小さな施工会社だとこの作成はかなりの負担業務。お父さんもこれを作成していた。早朝から現場へ行って帰社後は一人残って深夜までを週7日、なんて事も度々。若かったなぁ。

 

 そんな大変な業務だけに一般的に小さな現場、例えば戸建て等では作られていなかったと思う。今はどうなのか。泥土材の配合割合探しの際、戸建て現場の記録資料用としての写真を拝見した。ある程度以上の資料は作成されているのかもしれない。愛すべき施工業者だ。

 翻って本施工ではこの手記がこれに代わる。「ちゃんと配合しています」という記録記載をしているのが本来の施工要領書。この手記では、「ちゃんと配合出来ていません」という内容だ。

 

○解体時砂混入と配合不明材混合

 荒土材となった荒壁の解体当時、荒壁と大斑直しとの境面を割り剥がせる事に気が付かずに行っている。ガリガリしたのだ。よって、ある程度の大斑直し土や中塗土が荒土材として混入している。要は砂が一定量入っているのだ。荒土プールでの荒土漉し作業にてこれは確認出来た。泥の塊と粒子に対して、砂は1割強は入っているのではなかろうか。これをそのまま「荒土」としている。

 また、将来用保管材割合の都合で、解体大斑直し&中塗土を混合させて「中塗下付材」ともしている。

 

○使用進捗による泥粒子の偏り

 前項の砂の均等化を目指してかき混ぜは複数回行った。大斑直しや中塗り中盤施工中も特段気にする状態は無かった。しかし、中塗り終了近く、荒土プール内の材が少なくなってきた頃に変化を感じた。ヒビ割れの発生条件がシビアになってきたのだ。

 

 当初の荒土は砂が一定量入っている所へ既定量を入れるので、そもそも想定量よりかは「少し砂多め」の配合だ。それが、「そこそこ砂少なめ」に後半はなってくる。沈殿していた泥と砂が使われていき、水中に浮遊する泥粒子は残される。純度の高い泥になっていくのだ。建材としての荒土自体、そこそこは砂が入っているものだと想像している。それよりもかなり高い純度になっていたはずだ。

 これは建物としての問題は無いと思う。後半のヒビ割れ発生壁の方が強度面では強いと思うからだ。

 

○基準の不見識

 ヒビ割れ抑制の容易かつ確実策は、砂割合を増やす事だ。粒子レベルの泥割合が高ければ高い程、ヒビ割れ易くなる。乾燥差によるヒビ割れについて前述したが、あれはあくまでキッカケか剥離反り方向に影響するレベルのもの。自転車で言うと、真っすぐか一方かにしか曲がらない操舵輪の話。泥粒子の乾燥による収縮は、自転車本体を動かす強力な駆動輪。ヒビ割れ本命原動力は粒子材である泥だ。

 

 そう分かっていたが砂を増やす事には慎重になった。それは、壁が弱くなるからだ。

 砂自体はあくまで骨材であり結合材では無い。藁繊維やリグニンは結合補助材、と言ったところか。泥土壁の結合力の本命は粒子材である泥だ。大斑直し、中塗りの厚は片面10㎜を超える所がほとんど。土壁全厚は70㎜強が主。両面20㎜とすると20%を裕に超える。これ程の高い割合になる壁一部材を、見た目の為に強度を弱めてはいけない。例えば、構造用合板を本来貼らないといけない壁に9.5㎜厚の石膏ボードを貼るようなものかもしれない。

 代々の本職の方々が守ってきたこのような配合を、現在と将来の住まい手の安全責任を負うお父さんが、素人判断で強度低下行為を安易には出来ない、という判断。

 

 建材業者供給物や左官職配合の荒土というものは写真で見ただけで、実際に手で触り施工した事が無い。基準が分からない。それまでが感覚的配合にもなってしまっている。よって、高純度泥への砂配合増量分が分からない。そして、安易に砂は増やしたくない。これを手探りしている間に材は終了してしまった。

 

○計量具の不備

 そもそも材計量は目分量。安全の責任、とのたまうにしてはいい加減だな。

 計量バケツという製品があるがケチった。そこで、目分量バケツにアルキメデスさんの真似っこをして目盛り打ち、中塗施工途中から。この目盛りも大雑把な感じ。水の表面張力と油性マジックとの闘いで後者が、いや、お父さんが負けたのだ。8ℓ辺りの計量は不要だったので概ね良しとした。こんないい加減な人間ばかりなら物理学は発展しなかったな。

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