家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

中塗り壁のヒビ・剥離

<ヒビ・剥離の発生条件>

 荒壁ではヒビが絶対発生する。しかし、上塗りされるので構わない。大斑直しも確実に発生する。やはり上塗りされるので構わない。中塗壁にも発生する事がある。これも意外に構わない。漆喰により上塗りする予定だからだ。中塗壁は発生しない方がいいだろうがどうせ漆喰塗るし、という認識。これは現在も抱いている。こういう感じなので、中塗面のヒビを放置している箇所がある。

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 ただ、ヒビは見た目だけの問題ではないはず。ヒビが起こっている箇所は、動かない下地に対して材が乾燥途中で動いた事を示している。動かない下地に動く上塗り材。という事は、上塗り材が下地に固着していないはずだからだ。と言っても、上塗り材同士が硬化する事で面強度を得ていそうな所がある。ヒビ箇所を指で押してもカチンコチン。こういう所は先述通りに放置している。

 問題は、硬化していても動く箇所。これは完全剥離認定だ。こういう箇所に漆喰上塗りをしたって意味無し。何かのキッカケで中塗土ごと剥落するだろう。こういう箇所はやり直し。

 

○塗り厚

 このヒビや剥離。お父さんが考えるに発生条件、その一つが塗り厚。中塗り重塗り実施の最大要因だ。

 ずばり5㎜以上の厚さ。この厚さになるとヒビ発生率が急上昇する。10㎜弱からは必ず発生する。この事から、5㎜未満の所には中塗り一回塗り、5㎜以上だと二回塗り、10㎜超だと所によっては三回塗りを施したり。三回塗りだと「下付、中付、上付」とでも呼ぶのだろうか。

 

 こうは書いているが、これが完全実行は出来ていない。それもあっての「ヒビ放置宣言」なののだが、上付塗りしている最中に気が付く事があったりするのだ。「あぁ、塗り厚が矢場いなぁ…」。そう思っても途中で左官は止められない。そして、案の定の結果になったりとか多数だ。

 

○下地の脆弱さ

 もう一つの発生条件は、下地の脆弱さによるものだ。

 前述したように、下地壁の凸部で必要な箇所は削っている。これにより、貫や竹木舞が露わになる程に薄くなってしまった箇所がある。また、手を加えていなくとも脆い箇所があり、補強を行なわなかったり、取り除いて荒土等の再施工をしていない箇所があった。そのような箇所は、上塗りする前段階で触っても問題なさそうだったのだ。

 

 しかし、塗り前の水打ち、そして塗り材の水分を吸収して湿気る事で弱くなる。そこに塗り材の乾燥に伴う引っ張りが起こって破壊。これは塗り厚は関係無かった。5㎜以下であってもヒビを触るとベコベコ。こうなると下地からのやり直し。

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