中塗り重塗り
■「下地・現場毎」
下地や現場毎の対応なんて、お父さんには不要な要素だと思っていた。下地については、探検さんから散々ご忠告を頂いた水引きについてぐらいと。現場毎については、この家の事だけ分かればそれでいいと。でも、案外そうでもなかったのだな、これが。
但し、この下地と現場毎の項はややこしい。書いた本人がそう思う。踏み込んだ事を思考したもののそれが方々へ交錯し、その結果が「~だと思う」という推論だったりするんだから。お父さんの思考の挑戦記、として読んでもらえると救われる。
<中塗り重塗り>
中塗り施工は重塗りとした。前述して来た事は全て「中塗上付」施工だ。この手前段階で必要箇所には「中塗下付」施工を行っている。本施工での中塗上付と下付の塗り方は同じで、特段違いは無い。強いて言うと下付は上付よりも気楽。
お父さんの塗り物方法のイメージの一つ、それは「重塗り」。大抵の塗料は、一回塗りよりも複数回塗りの方が綺麗に仕上がると思う。一回塗り用として造られた塗料だとしてもだ。
これは左官でも同じかと捉えていた。「左官屋さんは何度か塗る」。左官に無知ながらぼんやりイメージはしていた。以前の施主施工では、これをうっかり忘れてコンクリ壁の結構な切り欠き箇所にモルタルの一回塗りを施した。それはそれは汚い仕上がり。左官への苦手意識が生まれた程の仕上がり。
さて、重塗り目的はやはり綺麗に面出し。と言ってこれだけではない。中塗り一回塗りよりも二回塗りとなるとその分の工期が延びる。中塗り前に人工見立てを甘くしていたにも関わらず、それよりも凡そ8人工は多くなってしまった。重塗りを決定する前は分からずとも、人工を喰うのは間違いなので結構迷った。そうまでして重塗りを行ったのには、その動機を複数見つけてしまったからだ。
○水引き
後述するが、中塗下付の材配合はその下地である大斑直しよりも砂が増える。砂が増えれば水引きが弱まる。水引きが弱まれば、次段階の中塗上付がやり易くなる。
しかし、上付厚が薄くなる事で水引きによる材硬化が早まった。よって、これについては行って来いだな。
○解体大斑直し土&中塗り土活用
解体土は、将来の改修を見越して取置いておく。しかし、粘土の割合が多く色んな土材の元祖となる荒壁土と違い、大斑直し土と中塗り土はその専用材であり用途限定。この土が沢山あるよりは、荒壁土をより残す方が良いだろうと思いつく。
しかし、この土はプールで寝かしていないし、漉してもいない。よって、中塗りを二工程にしてその下付材として使おう、と。
○大斑直しの追加直し
これが最も強い理由。中塗りの一回毎の塗り厚を小さくする為。
新規大斑直しは行ったもののそれでも凹凸は結構ある。既存大斑直しの凹凸が強いのだ。
既存大斑直しの凸部をある程度削ったが、削ると荒壁、箇所によっては竹木舞や貫が出てくる箇所があり、凸解消には限界があった。そのような凹凸壁は、凸が塗り面基準に影響し、凹部は結構な塗り厚を要する。壁一枚の中だけでも目標仕上げ面までの必要塗り厚差がまばらで、新規大斑直しでは解消し切れなかった。
また、凸壁は柱チリが少なくなる。その隣壁とのチリ差が大きくなってはおかしいと、既存大斑直しの凹凸が酷くなくとも隣の凸壁チリに近づけないといけなくなる。そうすると、凹凸が酷くないのに塗り厚を要す。こんな感じで、設計段階想定時よりもかなり塗厚が大きくなる壁が結構発生。
これら塗り厚が大きい箇所の解消、低減の為に実施した。このまばら凸凹壁への施工、ま~~ぁ、やりにくいんだわ。
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