黒船鏝の実践投入
<道具:良品も使い手次第>
さて、実戦投入してみると即変化。
・半間壁:旧鏝=八分割塗り、1.5時間→新鏝=三~六分割、1時間未満
・半間強壁:旧鏝=八分割塗り、2時間弱→新鏝=六分割、1時間強
・3/4間壁:旧鏝=十二分割塗り、2.5時間→新鏝=六~九分割、2時間未満
旧鏝が帆船なら、新鏝は太平洋を横断出来る蒸気船、やはり黒船の如し。本職からすると安物品になるのかもしれない新鏝。しかし、本職用として一応売り出されていたがそうは思えない旧鏝のお陰か、全く違う使い良さを得る。鏝圧を意識した新我流の実現にも寄与。
具体的には、鏝面が大きくなった事、材のアタリ具合が手に伝わりやすくなった事、鏝が材を捉える事で鏝の動きが良くなった事、そして鏝反り等に過敏にならなくても材に鏝圧を掛けやすくなった事、じゃなかろうかと想像している。
鏝反りに過敏にならなくても、と言っても反る事は反る。
本職も反る事は反るらしい。そういう場合、自分で直されるか鍛冶屋さんに頼むらしい。鍛冶屋さんの動画を見てみると、簡単そうにやっておられる。これは危険だ。簡単そうに見えるものに限って、難しかったり失敗しやすいと思うのだ。
だけど、やってみる。慎重にゆっくりと。で、なんだか良さそうな感じになった。次に使うのは来年かな。という事で防錆保護して一旦保管。
ところで、この本職鏝の導入結果は喜ばしい一方で、激しい後悔襲来。
新我流は探検さん来航がなければ生まれなかった。しかし、当該鏝は買おうと思えば買えていた。
新鏝は旧鏝の凡そ8倍価格。これをどう捉えるかは各々。お父さんは、始めから買っておけば十分に元は取れていたと思う。買ったのは、材終了による中塗り一時終了間際と言っていい時点。「もっと早くに買っておけば、と後悔するのだろうな」、鏝を見て見ぬふりをしていた頃にそう予想していたがそれ以上の後悔だわ。
打って変わって予想外だったのは、お父さんの面出し集中力が追いつかない事。母屋二階土壁の主になる半間強壁を三枚塗ると、材運びや材造り等を入れて一日が終了。新我流で本職鏝だと五枚は塗れてもおかしくないのだが、実際は以前と同じく三枚。塗り速度に材造りが追いつかない事もあるが、それよりも面出し集中力に成長がないのだ。
もっとこなして鍛えられれば違ってきたかもしれないが、その前に材が尽きてしまった。今度はチョコレートでも用意してやってみようかな。
成長でついでに言うならば、正誤はさて置いておいて、お父さんは道具から左官の事を色々推察してみるようになった。一方で、良い道具の価値を知っていながら目を閉じていた。このちぐはぐさは一体何。お父さんは成長しているのかしていないのか、よく分からん。
分かっている事は、探検さん来航により左官視点が一面から多面に至った事。これは間違いない。