家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

煮亜麻仁油作り

 まずは、本当に古色は漆喰へ滲むのか。目線が行かない高所にて実験。数日後に確認、滲んでいない。

 どう考えるか。滲んだという方は、古色の乾燥を待たずに漆喰塗りするようなぐうたらな方ではなさそう。じゃぁ何だ。確か古色を完成品として購入されていたように思う。成分について、確かお父さんが作ったような完全自然素材による物ではなかったような気がする。でも、それが滲みと関係あるのだろうか。確認しようとしたがブログが見つからず曖昧。

 

 じゃぁ、亜麻仁油は後塗りでも良いんじゃないかい、と考える。しかしだ。亜麻仁油は黄味がかっていて次第にその色合いを強め、最終的には黒味がかってくるという記述有り。いくら気を付けても、恐らく漆喰壁にある程度着いてしまうだろう。そうなると、古色は滲まなくとも結局は着色してしまう事になるかもしれない。

 壁と木部の透きについては分からん。下地である中塗壁次第、で思考決着。

 

 残すは乾燥期間。調べてみると「煮亜麻仁油」と言う物があるらしい。乾燥材の投入有無はあるものの、読んで字の如く亜麻仁油を煮たものらしい。

 亜麻仁油は硬化する化学変化の過程において発熱をするらしい。亜麻仁油を含ませた布を放置しておくと自然発火の恐れがある、というがこれなんだろう。どなたかが、煮る事で水分を飛ばして乾燥期間を短縮させると書かれていた。そうではなくて、この化学変化を促進させておく工程だとお父さんは考える。

 乾燥材無しの煮亜麻仁油は300℃程度まで煮込むらしい。乾燥材の手配は金も掛かれば手間も掛かる。そもそもどういう物を手配すれば良いか分からん。んじゃ、普通に煮て作るか。

 

 という事で温度計は購入。カセットガスコンロを用いて300℃を目指す。亜麻仁油は着火温度が200℃強、発火温度は300℃強。発火温度手前まで行くので、傍らに消火用として砂を置いて屋外作業。

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 300℃を計測できる温度計。費用の事もあるので選択肢は多くない。この温度計、250℃を超えた辺りから液晶画面がおかしくなってきた。280℃になると、何かの樹脂製ボディーが溶け始めてきた。何てこったい、この誇大広告商品めっ。

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 それでも何とか300℃直前まで計測、そこで終了。火災事故無く無事に生還。あぁ、怖かった。

 200℃辺りから煙が出だしたが、この辺りになるとなかなかの煙。公的機関の検証実験映像等にて天ぷら油の発火前のような状況。亜麻仁油は、お父さんの感覚だと生魚っぽい匂いがする。この煮亜麻仁油は、焼き魚のような匂いがする。何だか辻褄は合っているような気がする。色は、黄味が強くなったような気がする。

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 早速塗布。その二日後に確認、ほぼ成功じゃなかろうか。

 塗布量や場所によってはマステが付かないが、大体の箇所は貼り付いた。勿論、塗布されていない所よりかは接着力が弱い。塗装の為の養生なら不十分。

 しかし、左官作業による木部への汚れ軽減と目印が目的なので、これが達成出来そうな接着力はあるから良しとする。また、マステのみがスッと剥がれて塗料を剥がさない接着力なのでなおさら良し。

 

 また、保管についても軽く実験。ガラス瓶に少量を入れておく。二週間弱の経過では変化しているようには見えない。何だかいけそうな気がする。

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