家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

水と柿渋と弁柄と油の事

 埋め木作業が終わった事で、新たに買った柿渋で古色を作って塗装作業。古色だけだとマット感があるので、キッチン勾配天井と同じく亜麻仁油塗り重ね。既存部との差異が出るので、既存部にも亜麻仁油塗布。

 

 さて、この亜麻仁油塗布。マット感を抑えるという見た目だけで塗るだけでは無い。書いたか否か忘れたが、土壁との取り合いがある柱等には他にも理由がある。古色の漆喰への色滲み防止の為なのだ。

 その事については、以前に拝読した棕櫚刷毛の良さを教えてくれたブログに書かれていた事。その筆者の方は施工中か施工後に滲みを認知されて、後から油を塗られたらしい。漆喰の水気が古色を溶かして、漆喰がその水溶液を吸ってしまったのかもしれない。かなりの手間だったと思う。その事を教訓にさせて頂く予定だったのだ。

 

 だが一方で、油を塗ってしまうと「危惧」と「問題」がある。

 「危惧」については、漆喰や中塗り土等の壁材と木部の接着がなされないんじゃないかという事。既存部を見る限り、柱等と壁の間が透いている所があるし、密着している所もある。当然、後者の方が良い。

 この透きの有無は、仕上げ前の左官作業内で対処する部材がある。二流施工のこの家ではそれは不使用であり、お父さんも改めて使っていない。水加減を含めた土の調合や塗り方やらで、透いたり透かなかったりしそうな予感。こういう具合なので、油は透く可能性を高めそうな気がするのだ。

 

 「問題」については、乾燥に時間を要する亜麻仁油を塗る事で、すぐに養生が出来なくなる事だ。

 養生とは、糊付養生巻紙、カタカナで言う所のマスキングテープ、略してマステと言う物等を土壁取り合い部に貼る事。左官工程で木部を汚す事を極力減らす為は勿論の事、平らな壁にする為の目印として貼っておこうと考える。

 亜麻仁油の乾燥所要時間について一ヶ月という記述を見つけた事があるが、それは屋内条件の様。ほとんど屋外のような本現場だともう少し早いかもしれない。しかし、いずれにしても明日明後日という事はない。乾いてしまえばマステは貼り付く事は、四ヶ月程前に亜麻仁油を塗った箇所にて確認済。

 

 さて、どうしよう。事例や明快な答えを提示してくれている文章は無い。図書館等で専門書を探し、専門家や研究者等を訪ね歩けば答えが得られるかもしれない。一体どれ程の時間を要するのか分からんのでそれは諦める。あれこれ考える事十数日。左官工程は目前、こうなったら実験。