家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

藁スサは作られるか否か

 以前に書いた、建材屋さんと直接取引がインターネットで出来るサービスを運営する老舗建材商社。ひょんな事から運営担当の方々が我が家に来られてお話をする機会を得た。この会社の主力は左官関連品。なもんで左官の事は職方じゃなくとも、左官のサの字もほぼ知らないお父さんは足元に及ばない。

 

 その時の話で驚いたものが一つ。

 NHKでは、大河ドラマというものがある。45分程度のドラマをほぼ一年間も放送される。もしかしたら、二人が大きくなった時でもあるかもしれない。平成28年のドラマは真田幸村を主人公とした「真田丸」というもの。ドラマの冒頭にこの題字が映されるのだが、これが左官によるものだそうだ。

 その事が驚いた。CGだとか画像加工等の類と思っていた。いや、そもそもそこまで意識していなかった。それほど美しいもので、とても土に鏝で描かれたものとは思えないものだ。お父さんは毛筆であっても書けない。これを手掛けた職人さんは左官の世界でかなり有名な方、サの字も知らないお父さんでさえ拝顔した事がある、テレビで。凄過ぎるわ。

f:id:kaokudensyou:20160308193220j:plain←画像拝借

 

 そしてもう一つ、為になる話。仕上の漆喰の下地になる土壁に入れる藁は、「灰汁抜き」された物の方が良いとの事。藁の灰汁が漆喰に出てきてしまうかもしれないと。

考えた事も無かった。そういった記述と出会った事が、たまたま無かったので気にもしていなかった。言われてみればそうかもしれない。

 

 そもそもだ、藁スサの手配が必要。藁スサとは、藁を細かくしたようなもんで大斑直し土や中塗り土に入れる。壁割れを抑えつつ強度も得つつ、鏝滑りも得ようとする骨材の一種。荒壁土では切った藁をそのまま入れていたが、仕上げに近づく事で新たな材料を要す。目下の使用場所である薪ストーブ廻りの土壁の施工が間近であり、だからこそ商社の方とこの話になった。

 

 藁はある。寧ろ、勿体ないぐらい無農薬の物が山ほどある。竹木舞掻きに麻紐を使ったりした事もあるし、そもそも想定不可だった事で貰う際に多めにした事もあるし、で山ほど。

 一方で、藁をスサ化するにはどうすれば良いのよ。藁スサ業者さんは、当然の如く機械設備で加工。手作業による方法は発見出来ず。失われていく建材の一つらしいので、手作り方法が不明なのは致し方が無いか。