家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

お父さん、隅突鉋を造る

 難攻不落だからと撤退の選択肢無い。大丈夫、こういう時の為に考えていた道具がある。隅突鉋だ。

 

 隅突鉋、その名の通り、隅等を押し突いて使える鉋。引いて使う日本の鉋と違って、洋鉋のように押して使う異色な鉋。組み立ててしまってから鉋をかけたい際に用いる物だ。母屋二階の荒材柱への鉋掛けに打ってつけ、と言うかこれしか無いと見据えていた。

  しかし、この隅突鉋は特殊な物だからかそこらで売られていない。通信販売で買えるのだが1万円を裕に超える。そこで、造る事を想定して大量購入した中古鉋から候補を選定していた。

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 ただ、鉋の再生と仕込みの大変さをその後に味わってから、造るか買うか迷いが生まれて放置していた。あれから日が経った。大変さの記憶が薄れていたのだろう、1万円以上の出費を惜しむ気持ちが勝り造る事にした。

 

 寒い中、硬いカシ材である鉋台を一削りしては刃を当てがって、一削りしては当てがって。途中、何故俺は再びやっちまっているのだろう、と思う事86回程。この間、凡そ1.5人工。この間、工事は中断。

 施工者人工代よりも割りが悪いのは勿論、そこらのアルバイト時給並みの効率の悪さ。そんな事を考えていたら、ほぼ完全施主施工なんて出来ないし、道具等を一から造る事も出来ない。百も承知。ただ、隅突鉋を造っておられる本職の方は、一体どれ程の短時間で造られるのかを知りたい。

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 試し削りは一応出来た。まだまだ調整が必要そうだが、いざ本番。例の埋め木に使ってみる。そして、撃沈。埋め木と束柱との有り過ぎる段差は削られない。これらの説明をすると鉋の構造に触れていく事になるので割愛。要は、使う箇所と使う道具を間違っていた事で、とにかく撃沈なのだ。

 ここまでやってダメならようやく諦めが付く。結局は最終兵器のベルトサンダーでのやすり掛け。所要時間約15分。難攻不落埋め木はいとも簡単に陥落。どうせ隅突鉋は造るか買うかはしていた。しかし、やすり掛けの後、激しい虚無感に襲われて手が止まる。この間約30分。