家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

炉台炉壁計画:短寿命な鉄筋コンクリート

 捨て板にモルタル、なぁ。

 耐水処理を施した合板を捨て板とし、根太にガチガチで留める。モルタルは正常硬化の上、割れや剥離はあまり起こらないか。床だから落ちてくるわけでもないので多少は割れても良しとしよう。が、合板自体が論外。

 捨て板は予定通り無垢材とし、モルタルではなく鉄筋コンクリートに変更。無垢捨て板への伝熱軽減の為の嵩増し目的から逸脱した過剰強度を得てみるのは。少々は勿論、多々の事でも割れない。重量からして剥離しても浮きにくそう。が、鉄筋が論外。

 

 以前に触れていないような気がするので、鉄筋コンクリートの事に触れておきたい。この材が、お父さんの家探しに大きく影響したからだ。

 この材は絶妙な組み合わせで非常に良く出来ている。コンクリートは圧縮に強いが曲げや引っ張りに弱い。鉄は圧縮に弱いが曲げや引っ張りに強い。これを相互に補って圧縮にも曲げにも引っ張りにも強いのが鉄筋コンクリート。ざっくりはこんな感じ。しかも、強アルカリ性のコンクリートに覆われた鉄筋は錆びないからホントに優れもの。

 

 だけどもだけど、コンクリートは中性化していく。それによりコンクリートの強度は落ちるわけではない。問題は中に入っている鉄筋で、錆び始めるのだ。これがお父さんの抱いた最大の弱点であり、古くなった橋やトンネル等の管理者の方々の大きな悩みのようだ。

 錆る事により鉄筋強度が落ちる、ひいては鉄筋コンクリートの圧縮以外の強度低下もだろう。しかし、これ以上に問題なのは、鉄が錆びる事により膨張してコンクリートを破壊してしまう事だ。一般的在来工法家屋の基礎コンクリートが、表面から中性化していき鉄筋に到達するのはざっくりで50年。施工法やその環境によって、もう少し永らえたりもすれば遥かに早期に到達するので一概には言えない。

 

 是非はさて置き、家屋の短寿命を実質受け入れている日本の大半の方々にとっては大した問題ではないだろう。自分の代50年間は保てば御の字。鉄筋よりも上物の方がどうせ短寿命、ってな具合。

 お父さんは考えが違うので、これは無視出来ない問題。新築検討時は、鉄ではなくステンレス筋か被覆鉄筋の使用等を検討。中古検討時は、購入費用算出には維持費用として、補修や再施工を踏まえた基礎対策費を付加していた。

 こんなお父さんなので、長寿命住宅においては鉄筋コンクリートを使用する事は合板使用する事と同じ感覚。いや、後処理の事を考えると合板よりも大変かもしれない。

 

 まだある。薪ストーブと床下との寒暖差によりセメント材で結露が発生しないのだろうか、との疑問。合板使わずの掟を守っていても、この結露水が無垢捨て板に流れる、ましてや溜まるような事があっては全く意味を成さなくなってしまうかも。無垢捨て板や周囲の木部の全部に防水的な事を施す。それが一体どれほど保つのか、当てに出来そうにないような。

 

 自然素材で出来た家での新建材採用は難しいと思っている。しかし、歴史が長いセメントまで難しいとは本当に盲点だったな。