家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

炉台炉壁計画:お上品な段差

 幸先が全く明るくならない。断念、根太及び問題の既存根太兼大引材含め、床組を下げる事に決す。これで一気に思考の選択肢が拡がる。

 

 床断面図を考えながらふと思ったのだが、何故にリビング床と炉台を同レベルに「しなければいけない」のだろう。先述通りにこれは良案だとは思う。この同レベルを行う前提として広い炉台が必須と謳われている。灰や木屑が周囲の床に散らばりにくいように、だと。ならば、炉台を下げればより完璧な最良案じゃないのか。

 

 同レベルより事例が見当たらなかったのだがそれは、設計や施工、ひいては予算上の問題で避けられたのじゃないかと推測。まぁ、敢えてわざわざ段差を設ける等は一手間も二手間も要するから。という事で目を皿のようにして検索すると新築での事例を見つける。同レベルを良案と称していた方も炉台下げのこの事例を絶賛している。住まい手の方もすこぶる良いとのご感想。

 薪作り等で実感していた、薪は周囲を汚すと。その為、玄関土間に薪ストーブを設置する事を考えたりもした。よし、段差により物理的にも視覚的にもリビング内に土間を設けるのだ。

 

 さて、この段差。一言に言ってもどの程度にしたものか。段差というものは、中途半端が一番いけないと思う。全く無いか、階段並みか。でないと歳を重ねれば重ねる程、つまづいて家内事故を誘発し兼ねない。そういう風に教育されてきた。

 一方で、中途半端な段差が今や主流かと思う程に使われている所がある。昨今の分譲マンションの玄関上がり框だ。今時の設計者は家屋内の段差について無視する方はおられないと思われる。なのに、10cmも無いような低い段差を敢えて設けているのは何故だ。

 

 躯体等構造上で仕方なく、だとかがもしかしてあるかもしれない。居室内高さをより確保、床上げ分の施工費節約、等もあるかもしれない。何にせよ、低い段差が許容されているのは、明らかに段差がある事が承知されている箇所だからじゃなかろうか。もっと言うと、日本人に馴染み深い玄関上がり框の段差は数十cmだろうが数cmだろうが、日本人の皆さんは楽々超えていけるのではなかろうか。

 リビング床と炉台の仕上材は、何を選ぼうが視覚的にかなり違う物になる。そもそも日常は通行しない事になりそうな地帯。数cmの段差でも支障が無いのではなかろうか。

 

 とすると答えは3cm。この数字はリビング床材となる板厚と同じ。将来、薪ストーブを廃止して炉台をリビング一体化する際、直貼りや転がし根太貼り等施工方法関わらず、板貼を可能とするギリギリの厚さと考えた。

 そして、何となくお父さんの好み。前出の分譲マンション玄関上がり框の低い段差は、何故かお父さんは好きだ。愛想が無いフラットでもなく、荒々しい階段並みでもなく、そっとある程度が何だかお上品な感じが何故かする。こんな事書いておいて、ジジイになった時にこの段差につまづいてケガしても笑わないでおくれ。