家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

原木市にいざ出陣

 一般個人が原木の直接買い付けなど出来るか否か。出来るんだな、これが。

 原木を買われた個人の女性の方は、色々な方の協力を得ての事だったらしい。競り市の参加資格を持っておられる業者の方に落としてもらったのかもしれない。しかし、一般個人に開放している市もあった。しかも、お父さん感覚だと比較的近場で。しかも、吉野材の市だ。

 

 吉野材、どこで知ったのか。全く記憶には無いが、良材としてブランドになっている事は認識している。吉野杉は日本三大人工美林として、天竜杉、尾鷲檜と並び称されるようだ。山、土、気候、遺伝子、と色々条件があるんだろう。そういう自然要素だけでなく育て方も特徴的らしい。それは割愛するが結果、年輪は細かく均一的な事で強度があり、さらに色艶が良くて光沢も、という材だとか。これが比較的近場で、かつ個人が買う事が可能だと。すんばらしい。

 

 ちなみに、この時期に原木調達に動き出したのには、木工道に疲れての心機一転が主因ではない。冬場伐倒材の方が、含水量が比較的少なくて良いのではないか、とか。山主や林業者は、冬季に伐倒した材はすぐに山から搬出して出品するんではないかな、とか。冬季伐倒じゃなくとも、数ヶ月山で葉枯らしして含水量を減らした材が出てくる頃じゃないかな、とか。あくまで想像。

 

 さて、ほぼ無知で素人のお父さんがいきなり本番購入、というのはいかがなものか。競り市価格が意外に割高かもしれない。そこで、まずは競り市の見学をさせてもらう事にする。その旨伝えると、どうぞどうぞ見に来て頂戴、勝手に結構ですよ、と来た。

 ホームページで歓迎といくら謳っていても実際の電話口の従業員は、そうでも無かったりそもそも内容周知がされてなかったりする事は間々ある。ましてや林業の世界。無骨なオッサン集団、というイメージ。メール問い合わせに返信が無かった事もありこのパターンか、と思いきやウェルカムな口調。思っていたよりも敷居が高くなさそう、といざ出陣。こういう機会はなかなか無いだろう、とお母さんとりょうすけも伴って。平日だった為、きょうこは学校。

 

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 現地はイメージ通り。広大な敷地に原木がずらっと。業者のオジサン達が数十人。競りが始まるとオジサン達が謎の合図を出し始める。何の変哲もない軽い挙手はまだしも、複数本を指を立てたり。お父さん、それら早業をじっと観察。ただ、時には口頭だったり、値が入らない時は競り人の方が名指しで業者の方に入札をお願いしたり。緩い感じ、厳格な決まりはなさそうでホッとする。

 

 競りの雰囲気を知っておく以外の最大の目的。一体幾らぐらいするものか。

 木材相場の単価は立米。林野庁等から出ているそれら数字だけを見ると、製材所見積金額は頗る高い。果たしてこの相場金額は当てになるものか。これがサッパリ分からない。原木直接買い付けるか否かは現場で確かめてからじゃないと確定出来ん、と思ったのだ。

 

 目ぼしい材を複数候補を選定してチェック。これらの応札者はそれぞれ一人だけ。付いた価格は「1.5万円」程度。

 手間を考えると製材所社長の提示金額とさほど変わらない。しかし、必要分の木だけでなくオマケが付いてくる。落札材はいずれも2m強。階段踊り場束として使っても1m強の残材が出る。何かの建材や家具に使えるかもしれないし、最低でも針葉樹薪としての良材に出来る。

 さらに、原木使用目的である意匠面でも、自分で選べる事は良い。競り市で並ぶのは理想通りの木元。製材所に発注すると意匠面の要望は通らないかもしれない不安があったが、これが皆無だ。