家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

そうだ、原木買いに行こう。

 鉋道の樹海で遭難しかけたが、ようやく光が差して少し見通しを得られた。今度は、木工道の険しい岳山で本格的に遭難。これには参ったお父さん。心機一転。そろそろ原木を買いに行こう。

 

 用途は母屋階段踊り場の束。

 お父さん設計の階段案は構造面では壁に接しない。階段を支持する点は、上部にて梁、下部にて床梁。これが直線階段であるならば、この二点を結ぶ太い桁で事足りる。とてもシンプル。

 

 しかし、設計案は折れ階段。踊り場という角点がある事で、階段自重と通行者の荷重が単純では無くなると思われる。それでも平時なら難しくは無い。問題は地震時。踊り場より上部に当たる階段から、斜め下方方向へ荷重が掛かるんじゃないか、と考えた。

 と言って強固に造ると、柔構造家屋の一階と二階を構造的強固に繋げてしまう。だとすれば階段やその接続部材の破壊等、悪影響が出るんじゃないか。折角の伝統構法古民家を、在来工法頭しか無いのに引き受ける幾つかの工務店の改築工事を愚行と罵るお父さんからすると、これを無視しては同類になってしまう。

 

 色々考えた結果、微可動構造に出来そうな案を練る。それを踏まえると、踊り場を支持する束は一本の方が良いとの結論。踊り場の広い板を支持するだけならば、普通の太さの材を角四点に設ければ十分。しかし、揺れや微可動構造とするとなると、その束四本を一体化させる必要がある。

 

 この四本束を筋交やら貫やらゴチャゴチャ。木製椅子下部の大きい版、物見櫓の小さい版みたいな。違うか。荘厳かつ寂かつ閑寂とお父さんは思っているこの家のリビングに鎮座するゴチャゴチャ。ログハウスには良さそうでもこの家ではどうか。

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 ならば太い角材。いや、きっと高い。ならば原木そのままか。原木そのままもログハウスっぽいかもしれないとも思いつつ、木株に油を塗って飴色っぽくなれば。日本家屋で見た事が有るような無いような。角材よりは面白く、また厳かな感じも少し出るかもしれない、と思った次第。

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