「巾木」と「雑巾摺」の違いを学ぶ
鉋掛けを終えた材を刻んでいく。製材の際の挽割りがあまりよろしくなく、不細工な箇所が隠れる位置に配しつつの加工。
取付方法は、雇実込栓留め。この材に取付けるのは、根太3本とフローリング材。フローリング材が入る長い溝と、この材の天端間は結構空いている。「巾木」を兼ねている為だ。
この巾木。洋間の壁と床の取り合い部にあり、一部材として一般的。一方、畳間での同様部材に「雑巾摺」というものがある。
雑巾摺という名から想像出来るかもしれないが、床の雑巾掛けをする際に壁が直接擦られる事を防ぐ部材である。巾木にしても、雑巾やら箒やらモップやら、現在なら掃除機から壁を守る意味合いがあるらしい。
建築は基本的に、壁と床に限らず取り合い箇所に専用部材を施す。施工面から来る納まりの問題であり、意匠的な問題でもある。しかし、それだけでなく、この巾木や雑巾摺のような機能的も兼ね備わった部材もある。
この巾木と雑巾摺の違い。これはちょっとした疑問だった。巾木は床面から高さ50㎜の物が多く、雑巾摺は10㎜程度かでまちまち。洋間には巾木、和室には雑巾摺。名称と高さの違いだろうか。今回フローリングの端部を嵌めて抑える材をこさえる事で調べてみた。
すると、ちゃんと違う理由があるようだ。巾木は、床板端部を抑え込む用途でもあると。その為、高さ方向に幅がある材でないと用を足さない。雑巾摺は、畳相手なので抑え込む必要がなく、壁との取り合いの納まりの意味合いが主だと。
ははぁ、納得。今時よくある合板フローリングだと、下地の合板と金物だけでなく接着剤で貼り付けられている。この場合、巾木程の材は必要ないんだ。だけども、高さがある木、何ならビニールの巾木が貼られているのは意匠的な意味合いなんだな。長押と似たようなものか。勉強になった。
こうなると、今回の工事で床は無垢フローリング材となる。真壁仕様の土壁だけどフローリング。本来の目的に照らすと雑巾摺ではなく巾木だ。そういう事で、新設する場合は巾木とする。既存の外さない雑巾摺は、畳を外した事で床面との高さが生まれた事もあって、そのまま巾木として使えるのでそうする事に確定。