家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

床組材は新築時のものか否か

 探検さんが帰られる前、床捨て板剥がしにより露わになった床組について疑問を呈される。これは一度遣り換えているのではないか、と。

 この家の決済手続き直後、すぐさま束の状態確認を行った。その際、問題無しとして終わっている。この家は70年程経ってもこの状態なのだから、この先百年二百年は大丈夫だろう、と判断している根拠の一つだ。これに疑問を呈されたのだ。

f:id:kaokudensyou:20160103090452j:plain←状態確認した束

 

 探検さんの根拠は、築年数からして状態が良過ぎじゃないか、綺麗過ぎないか、だ。言われてみればそういう見方もあるなぁ。決済直後の確認時から思考を止めていたお父さん。探検さんと推理してみる事にした。

 

 既存根太は、間伐材である細い丸太を太鼓に製材された物が使われている。細い間伐材を山から降ろしてきても商売になる時代。現在においては、間伐材を建材としては使わない。商売として成り立たないようだ。

 

 お父さんは新規の大引や根太を、既存に倣った寸法の上で太鼓材にて発注。製材所社長は、その方が材として強くて良いと言う。切り落とす箇所が少ないからだと思う。しかし、お父さんは安さを目論んだ。製材手間も少なくなる上、既存と同じく間伐材のような細い材で賄えると考えたのだ。見積価格は、長さ10尺で厚み3寸材の太鼓で1,800円弱。一般的根太角材で3寸は過大であり安易に比較が出来ないが、予想より安さは全く感じない。

  いざ届いてみるとかなり驚いた。大引材も根太材も、柱材にするような太さだったからだ。四面製材すると柱、二面製材だけなので太鼓材、という具合。大引材と根太材の違いは、厚寸が3寸か4寸かの違いだけ。

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 尋ねてみると、間伐材は基本的に流通していないとの事。勿論、そういう事は知っていた。しかし、全く市場に出ていないわけではない事も承知しており、仕入れてくれるものだと思っていた。そもそも、こちらの製材所には自社林がある。だが、普段仕入れる先では間伐材は出ていないとの事。それに、伐採業者に指示すれば自社林から間伐材が得られるものの、それをわざわざ山から降ろしても商売にならないので行わない、とも。なるほど。

 そんな事なら、こんなに過剰な根太にせんでも良かった。「間伐材の利用は難しい」という事は、利用したくても出来ない事も意味する、という事を実体験を通して知る。

 

 森林資源大国日本のこのような状況は、木材輸入全面自由化の昭和39年を機に急激になったっぽい。わざわざ流通しなくなった間伐材を使うだなんて、少なくともこの家の以前の持ち主は考えない。施工者にも動機が無い。動機があった頃となると、昭和40年代以前のはず。

 さらに、所々に碍子配線が残っている。それを残したままVVFの電線管が施されている。床組を遣り換えたとしたら、使用しない碍子も付け替えて床下にわざわざ残す事はあり得ない。碍子配線が現役の時代に遣り換えた事は間違い無い。となると、お父さんの知る限りは昭和38年よりも前になる。

 

 遣り換えたとすると昭和30年代か20年代で間違い無し、と確定。これは、「築後数年から10数年に遣り換えて、その後は一度も遣り換えていない」という事になる。そんな事はあり得るのだろうか。万が一そうだとすると、丘の中腹位置にも関わらず床下浸水があって、とかだろうか。ならば、束石に載っている柱元にその跡が残っているのか。いや、残っていない。

 

 太鼓材の根太や大引は残して束だけ変えた、という可能性。床捨て板の釘穴跡から、竣工後に貼り直した可能性は皆無。この事から、束を変えたとすると床下に潜った状態での施工。う~ん、払拭は出来ないけど可能性は低そう。

 

 探検さんも恐らくご納得。その探検さんにすれば、軽く不思議に思った程度の問い掛けだったと思う。しかし、お父さんはこのお蔭で、おぼろげな予想が確信や確証に変わる。

 

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