家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

「鉋道」:避けては通られない道

 単独施主施工で、工期を定めずご近所から長期工事の苦情もなさそう。この事の一つの短所を挙げるなら、工程がマイペース過ぎても許される事。探検さんという第三者が日時指定で来られるという強制性のお蔭で、懸案先送り事項が二つ片付いた。

 しかし、探検さんが来られるまでに日がある。それまで何をしよう。色々考えてみたがどれも中途半端になってしまいそう。中途半端でも探検さんが来られて支障がない事。あれだ、鉋だわ。これをやるか…

 

 後日にご来訪された探検さんから冷やかされてしまった。お母さんも「あららぁ」と内心思っているのでなかろうか。違うんだ。拘りとか趣味に走っているつもりはさらさら無いのだ。お父さんも早く施工を進めたいと思っているんだ。しかし、避けたくとも避けては通られない道だったんだ。この弁明をさせてもらう。

 

 

 トイレ五本柱の加工中、替刃式鉋による仕上がりがイマイチになった。それまでにキッチン新設壁廻り材程度にしか使っていなかった。もう切れ味が落ちたのかな、と疑問を持ちながらも付属の標準刃から買っておいた高級刃に替える。替刃は錆止めかと思うが油まみれで袋に入っている。この油のお蔭もあってなのか、替えたばかりの刃はかなり良い削り心地。さすが高級刃、と思いきや次の柱となった際にはその切れ味が落ちるような感じがした。

 

 この替刃材はハイス鋼という硬い鋼材。自分で砥がない物だから砥ぎ易さを考慮する必要が無く、切れ味の永さ重視の鋼材が使われている。だからお父さんの気のせいと思いたかったが、材の仕上がりが現に違うのだ。

 キッチン新設壁廻り材は解体材、要は古材でありしかも化粧材だ。杉でも硬くなっており、さらに木目も詰まっている。トイレ五本柱の内、赤身が全体的に強いもの、節や年輪箇所のような比較的硬い所は一定の艶々にはなる。しかし、新材の白身は駄目。手触りからしてザラっとした感じが残る。

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 これに追い打ちをかけるように、削っていくそばから木肌に筋目が入るようになる。刃は欠けていない。刃を出し過ぎると、刃が当たる箇所とそうでない箇所では段違いになる。それでも無い。鉋台の底しか思い付かない、と触ってみると何か出っ張りのような箇所がある。鉋台であるシラカシの木目の入り方、と言うか鉋台材の切り出し方による為かと思う。これを除いてみるが筋目は何故か出る。鉋台を削ってみるが出る。

 そもそも鉋台を削る道具が無い。広い一枚板に紙ヤスリを貼って行ってみた。寸八という大きな鉋台だとA4サイズ程の紙ヤスリでは小さい。ステンレス定規を当てがって平らさを見るが、なかなか真っ平になってくれない。

 

 答えが分からないまま筋目が消えるまで、鉋台を削っては測り、削り試しの繰り返し。結局、丸一日をこれに費やす破目になり、だけども解決せずほぼ新品の鉋台は数ミリ粉化消失。

 非常に疲れた。知識も経験も無く答えが見えない中での単調長時間作業。これが一番疲れる。

 

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