家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

玄人相手の商売人は要注意

 平成24年の大卒初任給は凡そ20万円。お父さんの世代の生涯年収は2億円台前半。ちなみに、上の世代の平成バブル世代では3億円半ば近く。お父さんお母さんの親が属する団塊世代という、大東亜戦争敗戦直後のベビーブーム世代では4億円近くらしい。

 この団塊世代の人の中には、年金受給額をもっと増やせと言う者がいる。戦前生まれの人達に導きられながら高度成長の恩恵を受け、主力生産年齢を過ぎても年功序列で管理職になり若者達から搾取。これによりしっかり貯め込めた頃にデフレが来て経済力が増したはずなのに、年金財源を後世に残すつもりさらさら無いらしい。

 

 おっと、貨幣価値の話をと思っただけなのに愚痴ってしまった。

 物価や購買力に触れずに収入だけの参考値になるがこういう現在において、お父さんの購入した材木一本は例えば1万円程する。杉荒材の四寸角の4mで等級は「二面上小節」だ。もし「無節」だったら幾らか、3万円ぐらいだろうか。見積は取っていない。高価になるのは目に見えていたので、早々に選択肢から外したのだ。全部上小節。

 製材所社長から、他の注文の製材をしながら極力良いのを置いといてやる、と言われていた。無節製材失敗分だけど上小節、というような事ではなかろうか。納期がユルユルダラダラの効能。この事の期待もあった。

 

 で、実際に納品された上小節の中には、ほとんど無節材というものもあった。「やるじゃん、社長!」と思っていた。しかし、いざ柱を建てようとした時に固まってしまった。背割りを入れる面が適当だったのだ。

 

 背割りとは、材木に予め木目方向に切り目を入れておく事、またはその切り目そのもの。これにより、収縮膨張による材木の割れを抑える。

 さて、背割りがパカッと入っている面は、原則目に入らないようにされる。壁柱ならば壁内に入るように。独立柱なら建具で隠れたり、玄関や床の間等からは直接見えない側など。今回のトイレ柱で言うならば、南側となる奥玄関側の面は上小節、壁側の東西面どちらかを背割り面、とかだ。

 

 製材所はそこらを配慮する、と大工さんから生で聞いた事がある。図面を見せたら必要な材を拾い出して見積してくれる、とも聞いた事がある。製材所に限らず業者が客に代わって、という事はお父さんの経験上でも普通にあった。

 今回の発注は自分で拾い出しして発注リスト表を作り、これと符合する図面を添付して渡していた。これらを見れば背割り面はどこか一目瞭然のはず。なのに、一番節が多い所に背割りしておいた、という雑さ。

 その為、上小節面の反対側に背割りが入っているものが数本。奥玄関側を上小節にするとトイレ内側が背割りとなる。そこでお父さんは、背割り隠しを優先。奥玄関側に極力節が目立たない様な面になるようにしながら、折角の無節面を壁内にしなければいけない柱が出てきたりしてしまった。

 

 なんでやねん!! 何のために記号を付した表と図面を渡したんだ。万が一分からなかったのなら聞いてくれてもよかっただろうよ!

 と現場で憤慨した反面、お父さんから念押ししておく必要があったとも思う。初めての取引相手なのに、図面添付をした時点でちゃんと分かるだろうと高を括っていた。この製材所に限らず一般客に小売りをしていない業者の場合は特に、こういう事が往々にしてある。向こうのルールに乗っかってあげないといけない場合だ。

 なので、製材所に文句は言っていない。二人がもし、日頃は玄人としか商売をしていない業者と直接取引をするような事がある時、少なくとも家電量販店で物を買うような感覚でいてはいけないよ。

 

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