「土壁に川砂」を推理
何故、左官材には川砂か。
前述通り、角が取れていて塩分が無いという所が重要らしい。簡単に言うと、角があると振動により接着剤となっているセメントを割ってしまいやすいらしい。塩分は、セメントに良くないらしい。賢そうな理屈は知らず、盲目的にそう認識している。
ここでお父さんは思いました。土壁でもそうなのだろうか、と。
土壁、特に荒壁には石が普通に入っていた。川石ではなく、角がある石。この家の土壁にはその程度の建材を使っていた、とも言えるかもしれない。ただ、振動により砂の角が周囲の土を破壊する、とはピンと来ない。セメントのような硬いものは、かえって微振動する鋭利なものに弱いというのは頷ける。土壁のような比して強固でないものだと違うんでないかえ。
さらに、塩も問題無いのでは。土壁である漆喰に敢えて塩を入れてカビ防止、という施工をする業者がおられる。荒土だろうが中塗土だろうが、塩が入っていて問題あるようには思えない。ってか、土なんだからそもそも塩分がありそうだし。
推理するに、昔の左官職は適していたから、ではなくて手に入りやすかったから川砂を使っていたのではなかろうか。
川ならそこらにある。都市部等適した川が無くとも、採取した砂をそのまま舟に載せて近場まで運べる。採取しやすく運搬しやすいのが川砂。むしろ、海砂や山砂の方が手に入りにくかったのではないかな。
で、近代になりセメントという新建材の骨材として、それまでと変わらず習慣通りに川砂を使った。しかし、都市化が進むにつれて川砂不足が起こり、ならば海や山から採ればいいじゃん、で使用。その後に問題が発覚し、川砂がセメントには適材だったね、となっただけで土壁は関係無いんじゃないか。
その推理を確信的に思うようになると、建築建材業界の川砂不信感に目をつぶられる。だからと言って、敢えて川砂と称していない砂は買わない。一応、称している砂を買うが、やはり偽物だったとしても建物への影響が無ければ許容してあげる。ただ、川砂と称した分、割高で買わされるのは許さんけどもな。