大斑直し実験
キッチン新設壁の土壁が乾く。10日経過後。乾燥認定の推奨は二週間後だったりの記載があった。しかしながら、この箇所は北風がよく吹いている。表面の見た目乾燥状態から一週間程経過。もし内部が未乾燥でもこの箇所の壁は問題無い。という事で乾燥認定。大斑直しを行う。
大斑直しとは、下地である荒壁の凸凹具合を平らに均す工程。次の中塗りの仕上がりを大きく左右するのは容易に想像出来る。けど、この箇所の仕上げは外側は板貼。内側はキッチン台で見えなくなる。なので、この工程は本来不要。敢えて大斑直しを行うのには、三つの理由がある。
一つ目は、ここの荒壁と同じく荒土の使用保管の為だ。
大斑直し用の荒土には砂を入れて粘度を下げるのが本来。ただ、保管目的なので砂を投入せずに、荒土のままで行う。粘度が高くひび割れてもここは問題ない。ちなみに、使用している荒土にはそれなりに砂が入っている。土壁解体時、荒土に大斑直し土はある程度混入しているから。
二つ目は、練習。仕上げを左右する大斑直しを、ぶっつけ本番で行う事は出来ない。
三つ目は、荒土の混入物具合を見たかったから。
ぬか漬けのぬか床のように、今まで荒土を面倒見てきて感じていた。粘土や藁や砂以外の物がそこそこ入っているなぁ、と。石とか竹とか釘とか木とか。どういう経緯か分からないけども陶器やガラスやプラスチックの破片とかも。
荒土を漉す作業の存在を設計初期には把握していた。粘土質の荒土を漉すだなんて想像するだけでゾッとする作業。本番大斑直しや中塗りの多くは薄塗り。その必要性を薄々感じつつ何とか避けて通れないか。実際にやってみて判断したかったのだ。
疑似大斑直しの塗り厚は、目指せ3~5㎜。これを意識して行った。そしたらもう、主に小石が引っ掛かるのなんの。塗り面は鏝の動きと共に小石の溝が入っていく。小石を取り除きやり直す。この大して大きくない壁でこれを何度も行う。やってられない。
綺麗に平らに塗るというそもそもの課題だけでなく、この漉す作業も課題として確定。