家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

子孫向け竹木舞掻き補足説明

 さてさて、この竹木舞。方法やら掻き方で唯一というものがあるわけではないようだ。お父さんはそれを感じ取れた時点で、この家の既存土壁を解体して真似れば良し、とした。

 

 掻き方の種類等は前述した。本当は細かい内容がもうちょっとある。荒壁と貫の関係による配置寸法やら、竹の組み方やら。しかし、正直な所、将来にどういうものを求めて施工するのかが想定できないので具体的アドバイスをしようが無い。お父さんも不勉強な所が多いし。

 自然災害による崩落にての再生なら、そこにはお手本があるからお父さんのように既存を真似れば良い。新設ならばこれを読むか、お父さんの簡単な内容で不安なら詳しい記述を探してみれば良し。そして、実際に作ったり掻いたりしてみてやっていく。これで必要十分かと思う。

 雨漏り放置等の人為的破壊での再生、という事は無いだろう。我が子孫ながらそういう状態にした代は、そもそも自分で再生しようとは思わない子だろう。再生してくれる人に安くか無償で譲り、早々にこの家から出て貸家に入りなさい。そうした方が、この家だけでなく自分の為だ。

 

 これを踏まえて、将来竹木舞を見て「何故に?」と思うかもしれないので説明をしておこう。

 

 母屋二階の南北中央土壁の内、トイレと納戸の壁の一番北側の土壁。

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 建設時は土壁だったと思われる跡があるのだが、その後の改修で撤去されたように思われる。今回の工事で復活。この竹木舞の藁縄で一部、明らかに様相が違うものがある。

 

 ここの竹木舞は、二階土壁解体等の直後に掻き済んでいる。これを書いている現在からすると一年前程になるか。その際に藁縄を購入。4㎜×20mの送料込みで600円ちょっと。縄としてはそこそこするかな。余ったら草鞋を作るか、なんて思ってたら半間壁には足りなかった。不足分は微妙に3m程。

 そこで、里山保存の会で貰った無農薬藁で作ってみた。藁縄を編む事は、昭和20年代生まれ以前の農家出身の方で出来る方は結構いるらしい。子供の手伝いとしてやっていたようだ。昔取った杵柄、会の方達数人は農家を継がれてなくとも編められるようだ。ネット動画で見ても簡単そう。子供の手伝いレベルだし。

 

 しかし、この「簡単そう」は例のパターンかとも思ったが案の定、やってみると難しい。そもそも編む以前に、藁を叩いて柔らかくする事が出来ない。薪用の木材を斧と鋸で槌を作って叩くも、どうも正解が分からない。元々柔らかい感じの藁。叩いても柔らかくなっていっている感がない藁。もういいや、で編むと硬さを感じる出来栄え。再度叩いてみてもどうもなぁ、の繰り返し。

 引っ張って抜けたりはしなかったがほどけ易く、そうなると当然バラバラ。それ以上繰り返したり練習したり道具を作ったりする気にはなれず手を打った。購入品との見た目は雲泥の差だ。

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 もう一つ、キッチン新設壁の竹木舞。ここには、藁縄や棕櫚縄ではなく麻紐を用いている。

 竹木舞の力学的な仕組みや土壁の吸振性能からして、藁縄や棕櫚藁は本式だと思う。一方、古民家先輩はそうではないらしい。先輩がどこかで見つけられた情報だと、本職でビニール紐を使う人がおられるようで。さすがにそれはどうか、と先輩は麻紐だったと思うがそれを使う事にしたらしい。先輩邸は壁全てが土壁。しかも、ほとんど再生しなければいけない。藁縄だけでそこそこな額になる。麻紐だと扱いやすいだろうし。

 

 お父さんの理解だと、構造壁となる土壁にビニール紐は論外としても麻紐もどうかと。竹が網目状に組めさえ出来たら良い、というわけではなかったと思うからだ。しかし、確たる正解はお父さんには分からない。昔、麻よりも藁や棕櫚の方が手に入りやすかったから主流になっただけ、かもしれない。

 そこでこう考えた。キッチン新設壁は元々無かった壁。仮に麻紐により弱い壁となっても、今までよりもプラスになるのではないか。もし弱い壁ならば、下手に不可して構造上マイナスになる構造材、とまでにもならないのではないか。よって、古民家先輩の現場でのお話をお土産として採用させてもらう。

 

 そういう事でこの点については、荒い縄や弱い紐でも問題なく構造壁材料と出来るのか、と簡単には飲み込まないように。

 

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