家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

柿渋混合古色塗装方式の選定理由

 ただ、三代目古色容器も使い勝手以外で問題が無いわけではない。

 柿渋販社の説明に、柿渋は密閉容器でもゲル化する旨の記載があった。柿渋原液は、春夏を超えて秋でも液状のまま。しかし、冬になるとどうか。少なくとも、密閉には難がある三代目古色容器内ではゲル化しており、使用分だけ水を追加して攪拌してから使用している。販社説明ではこれで大丈夫とあるが、これはゲル化がヨーグルト状の話。これ以上にゲル化すると水追加ではダメらしい。三代目古色容器ではこうなる可能性がある。

 

 だからと言って、別塗装法である「顔料先行、柿渋後塗り式」はとてもじゃないがヤル気にはならない。

 容器がどうだとかの手間と比べて尋常じゃないのは自明の理。それだけでなく、工程管理も難しそうに思える。これは、本職の現場なら構わずやるし、だからこそ出来る方法じゃないかと勘繰っている。複数工種工程を単独で行うこの家での施主施工においては現実的でないと判断している。

 

 と言うのも、該当大工工事を全て終えてから他の工種施工をする前にやる必要がある、と思うからだ。そうでないと、土壁や床材等他工種工程の材を汚しかねない。この養生だけで結構な作業量とそこそこの費用がかかる。

 多業種が絡まない折角の単独施主施工、養生工程は極力省きたい。となると他部材が絡まない段階の、該当部材の設置時や直後に塗装が必要。現在の柿渋混合塗料塗装方法だ。これを後から柿渋、となるとその塗装工程追加は勿論、前段階の顔料乾燥待ち、後段階の柿渋仕上げ拭きと乾燥待ちが追加となる。

 

 さらには、既存材の古色箇所は、手で触れたぐらいでは取れずとも、濡れ雑巾で擦ると古色が取れたりする。柿渋による完全コーティングは出来ていない、若しくはそもそも柿渋は塗っていない。もしかしたら柿渋混合古色塗装が行われて、この塗料はこの程度なのかもしれない。いずれにしても、ならば混合でいいじゃないかという理由もある。

 

 これらを設計段階から実験やら想定して、お父さんなりに悩んでの「柿渋同時塗り方式」採用なのだ。想定外の白カビやゲル化があったものの、後塗り方式と比べるとやはり手間とは言えない程のものだろう。管理不足で柿渋原液が使用不可レベルのゲル化をしてしまって買い直す事になっても、やはり採用しないと思う。

 

 自分が悩んだので、二人や子孫も悩むかもしれないと思って書いておく事にした。「後塗り方式」自体を批判等するものでは何らない。柿渋コーティングを求める事が最優先ならば間違い無い方式だろう。

 この家の施工でも亜麻仁油は後から塗る箇所があるしな。と言って、亜麻仁油は混合出来ないだろうからそうせざるを得ないだけだけど。

 

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