家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

「鉋道」:誘(いざな)い

 目まいが収まらない中、出来る限り施工をしてみる。しかし、木埋め作業は健康状態でも進まない。そこで、木埋めした箇所の仕上げを行う事にしてみた。

 一番最初は、高所で柱と梁との取り合い部分。鉋が使えない。ベルトサンダーも使えない。という事で、鑿で粗方削って仕上げは紙やすり作戦。実際やってみると、埋め木がバリバリ裂けてしまった。鑿の角度を柱と同じにしても裂けてしまう。

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 埋め木部分だけでなく、お父さんの心が凹んでいく。鑿の切れ味や刃の入れ方ではないと思う。埋め木の選定が間違っていた。詰まりが良くない木だからだと思う。ここまで気を配る必要があったとは。

 仕方がないのである程度で鑿はやめ。木片に巻き付けた紙やすりで地道に削っていく。ちょいとマシにはなった。高所で照明の裏側、古色を塗れば分からないとは思う。しかし、幸先が悪い。

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 次。ここは先程よりは見えやすい箇所。本番だ。

 ベルトサンダーは仕上がりが違う。柱まるまる一本ならまだマシかもしれないが、既存の鉋仕上げと思われる柱に使うと、その箇所だけが浮いてきそう。それに、そもそもベルトサンダーは自重で平らに削っていく。既に建っている材に使うには向いていないと思う。

 そういうわけで、新材相手では散々だった中学校鉋で削っていく。少々危うい。刃の出調整を慎重に。すると、そこそこ形にはなった。

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 今から思えば、伐倒されて1年かそこらの柔らかい新材ではなく、70年以上の材相手。古材とまで言えるかどうかは分からないが、新材に比べると固くなっている。だから、未手入れの中学校鉋でも削れたかもしれない。

 削れたと言っても、出っ張っていた埋め木が平らになっただけ。既存の柱面のような綺麗でツルツルな仕上がりではない。

 

 ここで大いに悩む。お父さんは「鉋道」に足を踏み入れたくはない。恐らくそれはとんでもなく奥深くて、施主施工ごときで踏み入るにしては荷が重過ぎるはず。

 だけども、埋め木と既存柱の仕上がり差が気に食わない。これからもこういう箇所がある、全体的に。新材も大いに相手していく。二階の既存荒柱もある。建具や家具も造作する。これらをベルトサンダーと紙ヤスリだけで対応するつもりだった。でも、この調子だと本当に満足いく仕上がりに出来るのか。

 

 そんな折、替え刃式の鉋の存在を知る。刃を研がずとも美しい仕上がりになりそう。これはいいんじゃないか。ただ使うだけ。二階既存荒柱対策の解には不足だけど、それは置いておこう。「鉋道」に足を踏み入れるのは一歩だけですぐに抜け出せそうだ。

 と、そんな甘い考えから「鉋道」に誘われ始めた。

 

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