家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

そして釘の使用方針

 翻って釘。これはこの家で大いに使用されている。当然だ。和釘を含めると歴史が長い。この家では、見せる釘なのだろう、門屋の外壁板は和釘が用いられている。隠れる箇所は洋釘が数え切れない程使われている。五寸釘から小釘まで、一体何本抜いた事か。そして打った事か。

 

 釘を打っていて、折れ曲がる事はあっても切れた事はない。同じ鉄でも、ビスと釘は違うのだろうか。単に、打つ時に加わる旋回と衝突という作用力の差なのだろうか。これまで考えた事が無かったが、そんな疑問から実験してみた。すると、90度に曲げても釘は切れなかったがビスは切れた。

 

 これが何を意味するのか。実際、90度に曲げられるような事態は、家屋が倒壊途中でないと無いかと思われるので心配しても無駄のような気がする。

 しかし、この家は伝統構法。ちょっと歪んだぐらいだと元に戻ろうとするらしい。そうならない程傾いたとしても、よろび起こし業者さんさえいてくれれば補正してもらえるはず。その際、ビスは金属疲労で釘より切れる、若しくは強度低下が起こる恐れはなかろうか。

 

 そんな事まで考えると、ビスに関しては石膏ボード取付やその壁内の胴縁なり、束と大引のズレ防止なり、造作工事なり、材と材を強力に密着させたい箇所なりと、構造自体にあまり、若しくは全く関係しないような使用に限定しようと思う。

 ならばと、前出のネジ(ボルト)についても気になっている。差鴨居にある太いボルトは、築70年以上の現在においては表面の錆だけでまだまだ大丈夫そう。しかし、敷居と土台間のボルトは年月を感じる腐朽さが見受けられる。場所が悪いからだ。いずれも、地震や経年劣化で切れたとしても、構造に影響は考えにくい。

 

 一見気になる差鴨居と柱のボルト。

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 これに関しては、差鴨居を主に支持しているのは両端の柱。柱については上端にある梁を支持。ただ、建具の問題で干渉し合ったような位置にして補助的にボルトを挿入した。切れたとしても倒壊の危機に陥らない。むしろ、このボルトを中心として回転行動を起こすかも。ならば抜いてしまいたいぐらい。

 とお父さんは見ている。(在来工法の)耐震診断士でもあるおじいちゃん建築士に相談しても明確な解は当然得られず、お父さんの判断しかないけども。

 どうしても気になるならば、ここは後からボルトに代えて仕口加工の対応が出来る。南側縁側敷居も同じく後から対応出来なくもない。二階南東土壁内のボルトは、同じく二階に入っていた筋交同様、何目的で何作用するのか謎。見て見ぬふりで今回手を付けず。

 

 話を戻して、ビスと違って釘ならば構造部材として使うのか。これも否だ。ビスと同様に、補助的な使用や造作には使っても、構造材となる箇所の柱や梁等には使わない。前述のように、接合部が動く柔構造の伝統構法において釘も邪魔になりそう。実際、この家の構造部材に釘は一切使用されていない。仕口加工のみだ。

 そうは言いながらも、そもそも今回の施主施工範囲にて構造に影響するような木工事は多くは無い。殆どの柱や梁等は造作工事範疇。だけども、地震が来れば力は加わるだろうから、原則仕口で収めようと目論んでいる。

 

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