家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

ビスとネジ

 材木を接着させる話からもう一歩派生させて、緊結させる話。具体的には釘とビスについて。

 

 建築現場の機械化により現在は、圧縮空気で釘やビスが、又は電動のドライバーでビスが打たれる。前者は以前に少し触れた「釘打ち機」「鉄砲」、後者は度々出てくる「インパクトドライバー」、略して「インパクト」。工期短縮を実現に欠かせない機械かと想像するが、業界に古い人の言だと玄翁(金槌)で釘を打つ事がろくに出来ない本職がいるとか。俄かに信じ難い話。

 

 お父さんは接着剤同様、釘とビスの使用基準について漠然とながら考えていた。おじいちゃん建築士に一度尋ねてみた事があるが、「同じでしょ」と笑顔で一蹴。確かにそういう気がする。だけど気になる、と頭の片隅に長らく残っていた。何故なら、歴史と実績、そしてお父さんの経験からだ。

 

 ビスに似ているものとしてネジがある。先端が尖っているものがビス。そうでないものがネジ。日本にネジが誕生したのは16世紀と記憶している。種子島に火縄銃が伝来した事が発端。銃身発射口の反対側を閉じる部材としてネジが使用されていて、当時の鍛冶職人さん達は未知なる構造に対して非常に難儀したそうで。気持ちは分かる。

 

 昭和20年代に建てられたこの母屋は、伝統構法と謳いながら意外にネジ(ボルト)が使われている。一階東側手つかず時点でのお父さんが認識しているのは以下の通り。

 ダイニング予定スペースの「差鴨居」と柱接合部二ヶ所。リビング南側縁側敷居二本共と「土台」間。リビングと薪ストーブ間の欄間がある「垂れ壁」内の「長押」内側に、同壁両側柱と同壁「束」間。二階南東角付近土壁内で丸太「軒桁」と恐らく直下の「胴差」間。

 他にもあったが、改修により無くなっているので割愛。細かい所ではスイッチプレートの留め具等。

 

 しかし、ビスは全く無い。いや、有るのだが、それは後から造られた合板に使用されていただけ。ビスという横文字っぽさからも建築当時には存在していなかったのだろうか。実際、百年以上前の建物に使用されている認識は無い。ビスを表しにしているわけは無いので、ただ見えていないだけかもしれない。ただ、少なくともこの家での実績は短い。

 

 そして、お父さんが以前の仕事や施主施工等にて一般的なビス打ちしていた際、切れる(途中で断裂する)事が何回かあった。打つ部材の具合やビス自体の太さ等の条件によるのだが、特殊な専用ビスでもない限り家屋の構造部材として期待するものではないと推測している。

 

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