段差解消工事案再考
さて、自分の現場でツバメと戯れながら思い悩んでいた事。それは、一階の既存居室四部屋の床高さ変更工事について。
おじいちゃん建築士から一階をほぼ全て段差を無くしましょう、と初期に提案されていた。
既存は、既存居室四部屋が一番高く、その次に高いのは奥玄関だ。「上がり床」「式台」「水屋」、名称は不明。台所から上がってくる床なので「水屋」としておこう。そして一番低い台所。奥玄関土間同様、後年に床が貼られたのだろう。
←既存段差
案では「水屋」レベルを基準として、居室四部屋を下げて、元奥玄関土間と台所は上げる、というものだった。
まだ高齢者ではないお父さんは、バリアフリーに疑わしさを抱いている。
膝を悪くしたり、車椅子生活になれば有用だと思う。そうでなければ、屋内で段差解消して自分の感覚を甘やかすと、いざ屋外に出たらつまづくようにならないのか。屋外は微妙な段差が山ほどあるからだ。
せめて屋内は微妙な段差は減らしても良いかもしれないが、いかにもな段差は老後の生活に決して悪いものではないのではないか。
一方で、居室部の差鴨居と敷居の内法の低さの解消には興味を持った。お母さんは勿論、現在のお父さんでも普通に歩行していると鴨居に頭をぶつける事はない。これから身長が縮まるだろうからなおさらだろう。
問題はきょうことりょうすけや子孫だ。平気で180cm超えするかもしれない。百年ちょっとで劇的に身長が伸びた日本人。昔の人達は想像だに出来なかっただろう。お父さんは違う、知ってしまっている。今後の百年で我が子や孫達が、差鴨居に頭をぶつける程の身長になっている可能性がある事を。
ただ、この為に一体費用がどれほど必要なのかが気になって仕方がなかった。
なかなかの工事だという事は容易に予見出来た。事前の予算コントロールは無粋、とお考えのおじいちゃん建築士は一切言及しない。どうせ見積はタダなのだからそれから考えましょう、という姿勢。
この時のお父さんはまだ「そういうものか」と容認。この案がこういう経緯でずっと生き残っていた。