家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

木材調達先確保

 木材の乾燥方法を自習していたおかげで、製材所社長との会話はスムーズだった。

 この製材所では、低温乾燥と天乾の併用だそうだ。低温乾燥は
45℃~50℃でおよそ10日前後~2週間程度。完全天乾の場合は半年程度。「納期が問題ないなら天乾がいいよ」と奨められた。分かります、素人なりに分かります。だけども、天乾材を扱える自信は全くありません。

 大工職人は納品済の材が曲がっていればカンナ等で真っ直ぐに修正できる。お父さんには出来そうにない。乾燥による柱のうねりを見越して用材するらしい。お父さんには見極められそうにない。柱は天地が決まっていて、木元が下で木先が上は基本中の基本らしい。お父さんには何ら記載がない場合に木目だけで判別できるか怪しい。
 そこに、天乾材なる得体が分からない要素を抱えるのは不安。なので分をわきまえて丁重にお断り。結果、低温乾燥による人乾10日程の後、天乾という方法に。

 納期の余裕さには絶対的自信がある為、急がずに出来次第納品する感じ、とお願いする。その事から、他注文分の製材をしながら取り置きしていく事で、出来るだけ良い物を製材するよ、との事。出来るだけ安く、との言は無かったような気がするが、十分有難い。

 お父さんは稀な客人かと思っていた。確かに、施主が直接やってくる事は稀だそうだが、いないわけでもないらしい。そういう方は、色々こだわった施主の方のようで、材の産地も乾燥方法も製材方法も指定されるらしい。お父さん以外にもいたのだ。ただし、そういう方は施工者、或いは建築士と共にやって来ていたらしい。お父さんは単独、というか孤独…

 後日、杉フローリング
30㎜材の見積を出してくれた。他県材よりちょっと安い。そして、当然ながら配送料は込みだ。
 他県材業者さんとのやり取りでは、配送料が7万円。運送会社の4t車チャーター。という事で車上渡しは不変の原則。この家の接道は知っての通り、4t車が進入しづらい道幅。2tロング車も同様。バックで帰ってもらわないといけない。2t車だと敷地進入が可能だが、お父さんが望むフローリング材は4mもの。運送会社は斜め積みや車台出し積みなどしてくれない。融通が効かないのだ。
 製材所直接納品だと、車種も融通が効く。車上渡しではなく一緒に荷下ろししてくれるだろう。日時も相談出来やすい。しかも、総計で安い上に同地域材だ。

 お母さんは、価格等が分からない時点でのサンプル材比較検討で、同地域材を選んでいた。何の支障もない。それどころか、フローリング材だけでなくその他の構造材の手配も出来る。という事で、全ての条件を軽々と越えた近隣製材所にお願いする事となった。