家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

「家づくり」の為の視察旅行

お父さんは昔から、お母さんはどうも年齢を重ねる毎にと思われるが、旅行はあまり好きではない。お父さんの場合、疲れる為に金を使っている感を抱いてしまう事がある。ただ、目的があれば、時間や費用をかけて遠方地に行く事は厭わない。

 家さがしを始めて間も無い数年前、まだりょうすけが産まれていない頃、有名な温泉地に視察旅行に行った。建物、特に造作について目を肥やす為だ。いくら写真を眺めていても、その空間に居る事で受ける感覚は得られない。自分達にとってどんなものが良いのか、それを模索するのだ。

ホテルの客室、所謂洋間でこれは良いと思えるような造作のもの。これが居宅になると、例えば芦屋の六麓荘の邸宅のようなハイクラスじゃなかろうか。お父さんやお母さんでは非現実的で別世界の家屋。魅力的ではない普通の洋間は大体想像はできる。普通の旅館もしかり。民宿は至って容易も容易。

 そこで選定した宿は、一般的に「和風モダン」と呼ばれるような仕様でいかにも、というものだ。長時間の滞在の上で寝泊り体験が無いからだ。
 その旅館は各客室が独立した離れになっていた。目的が目的なので大盤振る舞いで二棟借りる事にした。これ以上になると変に怪しまれそう。二棟でも事前に説明を行っての予約だった。交通費込みの必要経費面からもこれが限界。

結果、良かったと思っている。造作ももちろんながら、ビニール製などではない建材なども一々良いものだった。新進気鋭の建築士の設計による予算を掛けたものらしい。

f:id:kaokudensyou:20150815215910j:plain←はしゃいで「通せんぼ」をしている幼き日のきょうこ

 この家の改修計画は、その視察旅行による影響を受けたり思想を真似ている所がある。予算や日常の使い勝手を考えると断念、又は却下したものもある。一つ挙げると、真似ている所を言えばサニタリー(浴室、トイレ、洗面室等)の面積。脱衣所や洗面所が、一般的家屋とは違って広かった。これはかなり使い勝手が良かった。余裕感も心地よい。「個室以外は広く」という方向性はここから来ている。家屋の延床面積自体は変わらないので、掃除面積はどうせ変わらないだろうし?

 記録写真を見ながらお母さんとあの視察旅行での浴室を振り返り、記憶を辿り寄せながら描いてみたのは石貼浴槽。視察した旅館のものが良かったものだから。それに、ユニットバスを止めるなら中途半端な在来はいらない。突き抜けた仕様にしてみた。