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家屋伝承

我が子たちに伝えておきたい、伝統構法の我が家のこと。

開眼

曲がり階段に続いて、浴室を考えてみる。

 おじいちゃん建築士は、相も変わらずユニットバスではなく在来浴室を奨めてくる。もう「希望」の域かな。

薪ストーブもしかり、その後には井戸小屋屋根の屋上緑化、井戸の復活、ソーラーパネルによる電気のオフグリッド化の提案もあった。現代住居のシステムや工業製品多用化ではなく、所謂そっち系が好きなんだろう。お父さんの選択基準はそれとは違って、簡単に言ってしまえば得か損か、割が高いか安いかだ。

 浴室は、以前も書いたようにお父さんもお母さんも拘りは無い。それなりの入浴が出来れば良い。さらに、ユニットバスだと家屋への影響が限定される。過去の経験により施主施工が容易な事が分かっている。知らなかった瓦屋根にはビビッていたが、知っているユニットバスは余裕のよっちゃん。しかも費用も大体読める。

 そんなお父さんに対して、建物への影響は
FRPというガラス繊維を使った防水施工にて問題なし、とおじいちゃん建築士。費用についても、ユニットバスと変わらないと主張。

しかし、主張や希望は言っても具体的な案は示してくれない。「30万円ならこう、50万円ならこんな事が出来るよ」などの例示が無いから、乗り気でないこちらとしては検討思考が進まない。ユニットバスと変わらない在来浴室ならば、普通のタイルだけ貼ってFRP製浴槽を入れただけじゃないのかな。それも確かに正真正銘の在来浴室である。ただ、意匠や使い勝手で中途半端な在来浴室を設置するぐらいなら、ユニットバスのメリットを捨てる甲斐はないと思うのだ。

 寝ても覚めても要望しても案はもらえない。「建築士が希望を言うから、具体的な案や施工法、見積は施主がせよ」という事か。お父さんが夢見ていた建築士の役割はこの逆だった…
 はっ、お父さんは勘違いしていたのではなかろうか。「『建築士に頼むと高くなる』という認識は間違い。実際は安くなる事もある」などの巷にあった宣伝文句を真に受けてしまったのだ。「頼むと案件の予算が高くなる」のではなく、「高い予算の案件だと頼む」が正解だったんだ。

建築士の働きぶりが発揮されるのは、施主にふんだんに予算がある場合だけだ。恐らく上物だけで5,000万円、設計監理報酬500万円以上の案件、とかなのだろう。実際、建築士募集サイトでこういう規模以上の案件へは、群がるように多数の建築士の方々が応募されていた。翻って、提示予算1,000万円ぽっちのお父さん案件ではごく少数。一人は不貞不誠実な奴、一人は勘違いな意図不明な奴。これを除けば片手以内の人数。これでも有難いのだ。なので文句を言ってはいけないのだ。

その内の一人だったおじいちゃん建築士も、きっと予算規模を大きくしていれば違った対応をしてくれていたはずだ。規模だけは大きく安い報酬のくせに、お父さんが無い物ねだりをしていたのだ。間違いない。きっとそうだ。お父さんが勘違い野郎だったのだ。

 と思う事にして自分を諌め、ずっと流していた建築士の「希望」を考えてみる事にした。後悔するのは、建築士ではなく住まい手であるお父さん達だから。


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